扉の向こうへ04


 これは…恐らく…二人の互いを求める気持ちは本物で…求める先にあるものが、まったく見えない状態の中で…及んでしまった行為…
スザクはその想いのままルルーシュを押し倒し、ルルーシュもスザクの行為を受け止める。
いつの間にかルルーシュの上半身からは衣服が全て剥ぎ取られていた。
そして…ルルーシュは自分の身体に触れてくるスザクの指を感じながら…ある事に気がついた…
―――スザク…この指は…ナイトメアのグリップの…。お前も…俺にウソをついているんだな…
スザクは恐らく、ルルーシュには知られたくなかったのだろうと考える。
スザクはイレヴンだから…ナイトメアの騎乗は許されていない…その事に安心しきっていた自分に腹が立ってくる。
エリア11などと云う辺境地…人材もそれほど豊富に割かれている訳ではない事くらいは解る。
そんなとき…スザク程の身体能力を持った者がいたら…それが仮に、ナンバーズであったとしても…ブリタニア軍は放っておく事はないだろう。
まして、現在、ルルーシュが『ゼロ』となって率いている『黒の騎士団』はブリタニア軍を苦しめている。
クロヴィスが死んだあと、あの、第二皇女、コーネリアが総督として赴任してきたくらいだ。
ルルーシュが『ゼロ』として立ち上がる前であれば確かにクロヴィスでも何とかなったかも知れないが…今は…あのコーネリアでさえも手こずっているルルーシュ…否、『ゼロ』の率いる『黒の騎士団』がいるのだ。
今はまだ、辺境地のテロリスト集団に過ぎないかも知れないが…功績をあげていけば、彼らに尽力する者も出てくる。
実際に、ブリタニアとの戦争に敗戦した後のこのエリアで表向きにはブリタニアに対して従順な姿を見せながら、陰ではエリア11の解放のために活動している地下組織に対して多くの援助を施している『キョウト六家』はまさにその先駆けだろう。
いずれ…『黒の騎士団』がテロリスト集団から、日本解放の義勇軍になっていく…
ルルーシュとしてはそんな事は、目的のための第一歩に過ぎない。
―――ブリタニアを壊し…ナナリーだけでも幸せになれる世界を…創る…
その夢の中に…どうして、ルルーシュの隣に立つスザクがいないのだろう…そんな風に考えてしまう。
そんな考え事をしていると、突然、大きな刺激を与えられた。
「何?こんな状況で考え事?ひょっとして…ルルーシュって、こう云う事…経験多い?」
その刺激に目の前のスザクを見ると…怒っている様な…悲しんでいる様な…そんな瞳が向けられていた…
「ば…バカ…そんな筈…ぅあ…」
言い返そうとした時…スザクに胸の飾りを強く摘まれた。

 それまでの…優しい刺激ではなく…いかにも奪い去る様な…奪い去られる様な…そんなスザクの動きにルルーシュの思考がストップしてしまう。
多分…スザクだから…許せる行為…
―――俺も…重症だ…
ルルーシュの胸の飾りを強く摘んで、痛みを伴うような刺激を与えているスザクの手に…そう思う。
与えられるその刺激は…ルルーシュのすべてを狂わせてしまいそうな危険なものだと…本能では感じているのに…感情は…スザクに触れたい…スザクに触れられたい…そう願っている。
「あ…ん…スザ…」
「少し…痛いくらいに摘んでいるのに…気持ちいい?」
その声にルルーシュは真っ赤になる。
確かに…普通なら痛いと思うほど…強い力で両胸の飾りを弄られているのだ。
潤んだアメジストがすこし、いつもよりも濃い色をした翡翠を見ると…
再会してからのスザクでも、7年前のスザクでも、見た事のない瞳の色だ…
「ほら…気持ちいいなら…そう云って…?」
そんなセリフに…ルルーシュは耳を疑う。
―――こんなスザク…初めてだ…
相変わらずその部分だけを弄られていて…自分の身体の中心部分にも…何か熱いものを感じ始めている。
ルルーシュ自身、本からの情報でそう言った知識を得ていたが…基本的に自分には縁遠い話だとして完全に無視していたが…
こんな形で体現させられる事になるとは…考えてもみなかった。
「ふ…ぁ…ど…して…こんな…」
身体の中で何かが起きている事を感じている。
不快なのか、快感なのかもよく解らない。
あるいは…どちらとも言えるかもしれない。
初めての感覚だった。
このまま続けていく事に恐怖を感じながらも、この状態で放り出されてもこれもまた、自分の中では地獄であると何となく解る。
「だって…こう云うルルーシュを…見てみたかったし…。それに…ルルーシュがこう云う事に溺れてくれればいいと…そんな風にも思っているよ…。ね、気持ちいい?」
スザクの言葉に驚きを隠せないでいるが…少なくともスザクが冗談でそんな事を言っているとはとても思えない。
「わ…解らな…」
ルルーシュはその時の素直な自分の想いを告げるが…
スザクはその言葉に苦笑する。
「解らない訳…ないでしょう?なら…質問を変えるね…。このまま続けて欲しい?それとも…やめて欲しい?」
涙目の状態のルルーシュを見ながら、スザクは楽しそうに…そして意地の悪い笑顔を見せている。
いつもの…ルルーシュの好きな笑顔じゃない…。
「スザクは…どっちだ…?」
あからさまに自分でも逃げだと解る様な言葉…
それでも、ルルーシュとしてはそう、力なくスザクに尋ね返した。

 そんなルルーシュの言葉にスザクも困った顔を見せるが…
それは多分…演技だと…ルルーシュは思う。
実際に、スザク自身、何も困ってはいないのだが…
どんな言葉をかけられたからと言って、やめる気など毛頭ないし、ルルーシュがこの状態で一人で放り出されても、ルルーシュ自身が苦しいだけだ。
そして、その苦笑を浮かべたまま、ルルーシュの耳元に顔を寄せる。
「ねぇ…続けたい…って言ったら…続けさせてくれるの?」
吐息のかかる距離からの…そんな囁き…
その声と耳に当たるスザクの息でルルーシュの身体がぴくりと反応する。
―――ルルーシュ…女の子みたいに敏感なんだね…
ルルーシュのその反応に満足げな表情を見せる。
ルルーシュの目に入っているかどうかは解らないが…
「スザクが…望んで…くれる…なら…」
ルルーシュはそう云って、少しだけ自分の顔よりも上にあるスザクの顔を両手で包み込んだ。
そして…スザクの唇にルルーシュのそれを押し当てる。
キスと云うには…あまりに稚拙で…ルルーシュ自身がそう言った事に対して何の免疫もない事を示すような…そんなキス…。
これまで、軍の中でそう云った処理をする…処理をする為だけの女なら何人か抱いてきた。
キスも、そう言った行為の身体の動かし方も…そう云った女たちの方がはるかにうまいと言えるだろう。
その女たちが今のルルーシュみたいな状態だったらスザクも興ざめしていたに違いない。
―――ルルーシュが相手だと…こう云う方が…嬉しいんだな…
そんな事を考えている。
ルルーシュから与えられたキスに対して、スザクはすぐに自分の顔を包んでいる細い両手を掴んで、一つに束ねてルルーシュの頭の上でシーツに縫い付けた。
そして、残った手で、先ほど、息を吹きかけた耳を…そっと刺激しながら、ルルーシュに深いキスを返す。
耳を弄られて…ルルーシュは頭を振ってスザクの手から逃れようとするが…それでもルルーシュの唇からスザクの唇が離れる事はない。
やがて…ルルーシュの耳を弄んでいた手は、ルルーシュのスラックスのベルトを外し、スラックスの上からでも解るほど窮屈そうなそこを解放してやるために、下着ごと下ろしてやる。
「ん…んん…ゃあ…」
少しだけ、そこから集中が緩んだのか、ルルーシュの唇がスザクから解放される。
スザクの目は…すぐにそこへと向けられる。
そんなスザクにルルーシュは余程恥ずかしいのか…顔を真っ赤にして涙を流していた。
「み…見るな…」
ルルーシュのそんな姿に…スザクはにこりと笑って返す。
「どうして…?とても綺麗なのに…」
「そんなの…綺麗なんかじゃない!」
涙声でルルーシュはスザクに訴えるが、スザクはそんな事はお構いなしだ。
「恥ずかしいだけなんでしょ?大丈夫…。どうしても見られたくないって言うなら…こうすれば見えない…」
そう云って、スザクはルルーシュのそこをすっぽり口の中におさめた。

 スザクのこの行動にルルーシュ自身パニックを起こしているようで…
しかし…スザクのその…的確にポイントを捕らえている唇や舌の動きに最早ルルーシュ自身が抗議する事すらできなくなっていて…
「ふ…ぅ…ああ…はぁ…」
言葉尻だけを掻い摘んで…こんな行動に出るとは…流石にスザク相手にルルーシュは考えもしなかったのだろう。
先ほどよりもさらに強い刺激を与えられて…恐らくルルーシュの状態は…
どうせなら…顔も見えればいいのに…と思いながらも、ルルーシュに…恐らく初めてであろう…その感覚を与え続ける。
すると…力の入っていないルルーシュの両手がスザクの髪を引っ張った。
「っ…」
流石にそう言った事への準備も出来ていない状態でのその痛みにスザクも多少顔をしかめるが、そこから口を放そうとはしない。
「だ…ダメだ…スザク…はな…せ…」
ルルーシュの状態を正確に判断すると、スザクは更にその動きを速めた。
「あ…いやぁ…やめ…」
多分、今のルルーシュには強すぎる刺激なのだろう…。
体中から汗が出ている事は解る。
そして、スザクは一瞬だけそこから口を放して言ってやる。
「いいよ…我慢していると辛いから…イッて…」
その一言を言い終えるとすぐに先ほどと同じようにルルーシュのそこに刺激を与える。
ルルーシュは必死に最後の抵抗をしている…
―――無駄な努力…なのに…。無駄な努力の嫌いなルルーシュが…こんなことするなんて…
こうなって来るとスザクの方も意地になってさらなる刺激を与える。
すると…限界に達したのか…ルルーシュの身体が弓なりに反った。
そして…スザクの口の中にルルーシュのそれは吐き出されたのだ。
スザクはそれを嚥下して唇の端から垂れているそれを自分の腕で拭い去ってルルーシュの顔を見ると…泣いていた…
「だ…だから…放せって…」
スザクとしてはどうしてそんなにルルーシュが泣くのかが解らず、きょとんとしてしまう。
多分、スザクの口の中に吐き出してしまった事を気にしているのだろうとは思うのだが…
「ルルーシュが悪い訳じゃないでしょ?僕が…そうしたい…って言ったんだから…」
スザクがそう云ってもルルーシュは『ごめん』と謝り続けている。
スザクはそんな小さな子供みたいなルルーシュを見て、何となく得した気分にもなるのだが…それでもこのまま泣かせておくのも忍びない。
「なら…僕も気持ち良くなりたい…いい?」
ルルーシュはスザクの言葉に涙目のままきょとんとしているが…
「でも…俺…」
「大丈夫…ちゃんと慣らすから…」
スザクのその一言を…ルルーシュはきちんと理解したのかしていないのか、はっきりしていないが…それでもスザクの言葉に、こくんと頷いた。

 ルルーシュ自身…スザクのしようとしていた事を察知した時に…一気に我に返ったが…その時には時は既に遅し…
スザクも自分の来ている服を脱ぎ捨てて、ルルーシュのその、自分でも見た事のない場所を解している。
「ん…んぁ…」
先ほどとは違った感覚に戸惑いを見せるが…ルルーシュは先ほどの(殆ど独りよがりな)負い目からそのスザクの行為を受け止めていた。
まさか…そんなところを…そんな風に思った時には既にスザク自身が完全にその気になってしまっていたのだから…
どれほどの時間…そこを弄られていたのかも解らない。
ただ…スザクは『ルルーシュを傷つけたくないから…』と…そう云ってその行為を続けているのだ。
何をされるのか…ルルーシュ自身理解できている。
怖いと思わない訳ではない…
でも…スザクだったら…そんな思いがあるのも事実で…もしかしたら…ルルーシュとのこの行為でスザクがブリタニアよりもルルーシュに関心を持ってくれれば…そんな思いも無きにしも非ずだ。
「スザ…も…いいから…」
ずっと続けられていた行為にルルーシュ自身もさらなる熱を持ち始めていて…スザク自身も恐らくは同じなのだろうという予想は着く…。
否、ルルーシュの場合は一度達している分まだ楽なのかも知れない。
スザクはまだ…ルルーシュを気持ち良くする事しかしていないのだから…
「でも…」
スザクが心配そうな視線を向けるが…ルルーシュは『大丈夫だから』と…スザクを促す。
そんな視線を向けられてはスザク自身も我慢の限界を超えるというもので…ルルーシュのその狭い入口に自分自身をあてがい、少しずつ挿入って行くように力を込めていく。
「っ…っく…」
流石に受け入れる為の場所ではないところに異物が入って来るのだ。
多少なりと苦痛は伴う覚悟はしていたが…
「ルルーシュ…やめようか?」
「や…やめるな!」
心配そうなスザクの視線にルルーシュは『バカにするな!』と言わんばかりだ。
そして…時間をかけて…ゆっくりとルルーシュの中に挿入っていく。
「ルルーシュ…全部挿入ったよ…」
スザクのその一言にルルーシュはほぅと息を吐いた。
そして、安心したようにスザクにこう告げる。
「お前が…気持ち良くなるように…してくれ…」
その言葉に…スザクの中で何かが切れてしまったのか…ルルーシュの中でスザク自身がその獰猛な素顔を表す。
そして、その動きの中でルルーシュのポイントに当たり始めたのか…ルルーシュの漏らす声も苦痛の色だけではなくなり始める。
「ふ…ああ…ん…あ…」
「ルルーシュ…ここ…気持ちいいの?」
先ほどまでのスザクがウソの様に余裕のなくなった声でルルーシュに尋ねる。
「ふぁ…ああ…気持ち…い…」
二人とも、何が何だか解らなくなったように、お互いを貪るように互いを求めあって、互いをぶつけあっている。
「ルルーシュ…僕…もう…」
「ああ…やぁ…」
二人は…同時にその思いを…欲望を吐き出した…

 スザクの隣で行為の後の疲れで眠っているルルーシュを見て…幸せだと感じる。
まるで…子供みたいな寝顔を見ていると…テロリストを率いている人間と同一人物だとは思えない…。
「ルルーシュ…」
守りたいと思う…
そして…スザクは決意する…ルルーシュを…二度と、あんな場所に立たせない為に…
しかし…その決意が招く悲劇を…眠っているルルーシュも、そして、ルルーシュを救う為にその事を決意したスザクも…まだ知らなかった。


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