妄想(無茶振り)バトル01

TURN01 (賞品はルルーシュ=ランペルージ!)
アッシュフォード学園 バトルロワイヤル!T


 入学式を終えて、2週間ほど経った。 アッシュフォード学園に入学してきたピカピカの1年生たち…
この学園にはとんでもない学園の支配者がいると云う事実…そして、その支配者の絶対的な権力を思い知るには2週間と云う時間があれば十分であった。
そのとんでもない支配者の名はミレイ=アッシュフォード…
この学園の生徒会長にして、誰に対しても冷静沈着を保ち、その表情を崩す事の殆どない生徒会副会長であるルルーシュ=ランペルージの表情をいとも簡単に崩せる唯一の人間だ。
彼女の一声で翌日までに大規模(普通の学校であれば準備に1ヶ月以上かけるような規模)なイベントの準備までさせられると云う…アッシュフォード学園はまさに…彼女を絶対君主とした彼女の帝国であった。
そして、この2週間…ミレイの
『やっぱり、新入生の緊張をほぐさなくっちゃね♪』
と云う、単にお祭りをしたいがための口実を作り上げ、毎日何かしらのイベントをしているのだ。
その度にアッシュフォード学園の生徒会は振り回される。
そして、生徒会メンバーたちは気力と体力の限界を超えての生徒会活動を強いられる。
まぁ、有能な副会長のお陰で他の生徒会メンバーはかなり負担を軽減されているが、その分、副会長たるルルーシュの負担は計り知れないのだ。
で、ルルーシュも逃げればいいのだが…何せ、住まいがアッシュフォード学園のクラブハウス…
逃げるには限界があるし、最愛の妹を一人クラブハウスに置いて闘争など…妹を何よりも愛するルルーシュに出来る訳がなかった。
そして、今回、ミレイが今回のイベントの企画を出したのは、(ある意味突発的イベントの中では良心的に)1週間前に予告されたものだった。
しかし、規模としては…ルルーシュは頭を抱えてしまう。
恐らく、学校の勉強よりも、『黒の騎士団』の活動よりも、この生徒会活動で頭を使っている事が多い気がするのは…多分ルルーシュの気の所為ではない。
恐らく、生徒会メンバーにこう云った質問をしたら、確実に、(ミレイ以外)全員、『その通りだ』と答えるだろう。
今回のミレイの考えた企画は…
『(賞品はルルーシュ=ランペルージ!)アッシュフォード学園 バトルロワイヤル!』
いかにも、ルルーシュが全力で嫌がりそうなイベント名であるが…
名前だけでなく、内容もルルーシュが力いっぱい嫌がる内容である。
この企画書を渡された時…ルルーシュは握り拳をフルフルと震わせ…全身全霊で怒りを表していた。
『会長!どうしていつも俺を曝しものにする企画ばかり立てるんですか!?』
いつもの事だが、このミレイ=アッシュフォードと云う女性は…その程度の怒りなど暖簾に腕押し…嫌がれば嫌がるほど燃えると云う…(ルルーシュにとっては迷惑でしかない)ポジティブな性格であった。

 で、今回のイベントのルールだが…ルルーシュは早朝にクラブハウスからアッシュフォード家の(スーパー)メイドである篠崎咲世子によってどこかに拉致され、監禁されている。(とは言っても、アッシュフォード学園敷地内、しかも一般生徒の立ち入り可能な場所)
生徒たちには一輪ずつのガーベラが配られている。
そのガーベラは自分の身体や来ている服に触れてさえいればどこに隠しても構わないが、そのガーベラを他の生徒に奪われたらそこで失格。
また、そのガーベラの花びらが全て落ちてしまっても失格。
『バトルロワイヤル』と云うからには、まさに弱肉強食…
目の前に立ちはだかるもの全てなぎ倒してルルーシュを見つけ出し、ゴールであるクラブハウスの生徒会室まで連れてきた者が勝者である。
勿論、ルルーシュを監禁場所から連れ出したとしても、クラブハウスの生徒会室まで数々の困難が待ち構えている。
渡されているガーベラを奪われても、ガーベラの花びらが全て落ちていても、邪魔する事はOKと云う、なんともミレイ会長らしいルールである。
ルルーシュをその戦いに巻き込んで怪我させたらその場で失格…(擦り傷などの軽傷を含む)
ミレイ自身、流石に命を張ったゲームをする訳にはいかないと思うのだが…ある意味、血を見るかも知れない企画である。
そう…そこまでの予想がされるのにはわけがある…
イベント名にもあるが…ルルーシュが賞品なのだ。
勝利者には『ルルーシュを1週間貸切できる権利』が、ルルーシュの意思を無視した形で与えられるのだ。
尤も、ミレイがルルーシュの意志など聞く筈もないのだが…
大分、この学園を理解してきた新入生たちもこのお祭り好きのミレイを理解し始め、そして、見目麗しい副会長に対してのあこがれは日に日に増して云っている。
流石にお近づきにはなれないだろう…と遠くから眺めていた新入生たちだったが、今回の企画でその、憧れの副会長を貸切できるという…そんなおいしい賞品がついているのであれば…と、もはや、先輩も後輩もなくなっている状態である。
ただ…今回、いつもと違うのは、ミレイもルルーシュの居場所を知らないと云う事だ…。
まぁ、咲世子が隠すのだから、ルルーシュの運動神経、頭脳を知っていれば、どこに隠すのが適切か…そのくらいの判断はできるだろう…(いくらルルーシュに『天然』と云うレッテルを貼られていたとしても)
全生徒に、ガーベラが渡り、全てのルール説明が終わると…ミレイはいつもの様にスタートの掛け声をアッシュフォード学園に響かせた。
『にゃぁぁぁぁぁぁ…』
その掛け声とともに花火が上がり、ゲーム開始である。

 このアッシュフォード学園には人間離れした人間が何人かいる。
普通に壁を走って行けるナイトオブセブン、枢木スザク…
その枢木スザクと女だてらに互角に戦う事が出来、全裸を見せてもスザクは女と認めていなかった(少なくとも顔色一つ変えていない時点でスザクの中から彼女は『女性』というカテゴリーからは外れていると思われる)カレン=シュタットフェルトこと、紅月カレン。
体術はどうかは知らないが、年若くしてナイトオブスリーの地位を得て、金髪と碧眼と必要以上の長身で女性を翻弄しているジノ=ヴァインベルグ。
ルルーシュの謎の弟…そのベビーフェイスからは想像もできないような腹黒さとずる賢さと(内緒だが)周囲の人間の体感時間を止めるロロ=ランペルージ。
中等部からは寡黙であるが故にその実力は知れない…しかし、その天然さで欲しいものの為なら自分の愛機であるモルドレッドまで引っ張り出しかねないナイトオブシックスアーニャ=アールストレイム。
そして、何と言っても、どんな強力なパワーを持ってしても、きっと、この少女に勝てないであろう…(否、スザクなら強引に奪い去るかもしれない。ルルーシュを奪取される事を恐れて、決してアッシュフォード学園に彼女は近づけて貰えなかったのだから)ナナリー=ランペルージ。
これだけの強力なメンバーの揃っている中、他の一般生徒達は、とりあえず、同盟を組んでいる。
スザクやカレンにパワーで勝てるわけもなく、ジノに関しては彼のファンの女子に彼の周囲を取り囲んで貰い、ロロに関してはとにかく見つからないようにしないと、ギアスがなくても後の呪いが怖い。
アーニャに関しても、うまく騙せれば儲けもの…
ナナリーに至っては…同対策を取るべきか…誰もが悩みに悩んだが、いっそ、スザクを見逃しておいて、ナナリーにぶつけるか…などと考える。
とにかく、どのメンツを見ても、1対1では到底かなう相手ではない。
もたもたしていると、さっさと突破されてしまうし、とにかく、最初に奴らを倒してからゆっくりとルルーシュ=ランペルージを探すのが得策…一般の生徒たちはそう考えている。
しかし…この競技が始まると…そんな甘い考えが通じるような相手ではない事がよく解る。>
スザク一人にしたって、一般生徒全員が束になってかかったところで、そのルルーシュへの鬼の様な執念は突破出来るような代物ではなく…
確かに、今上げたメンツの中ではこいつが一番体力大魔王で、力で勝負しても絶対勝てない。
しかし、他のメンツも(無駄にルル総受けな和泉綾の所為で)ルルーシュへの執念は半端ではないのだ。
そう…彼ら一人一人が、一般人が452人くらい束になってかからないと敵わない相手なのだ。
このイベントに置いて…元々ミレイのイベント好きを知っていた生徒たちは改めて思い知り、新入生たちは、『ルルーシュのお近づきになりたければ…まずは自分たちを倒してからその屍を乗り越えて行け…』な面々を突破せねばならない事を思い知る。

 スザクはとにかく、襲い掛かってくる生徒たちを壁走りで突破する。
流石に一般人では、校舎の端から端まで壁を伝って全力疾走出来る人間などいない。
しかも、スザクの場合、平地を走っている時は100mを9秒、壁を走っている時は100mを9秒13と云う、驚異のスピードで走りぬける。
世が世なら…あらゆるスポーツの業界から引く手数多な稀有な存在であったに違いない。
一般人の男子高校生でも…と云うか、陸上の選手でもそこまでの記録を持てる日本人は中々いない。
一般の高校生が彼の足に追いつけるわけがない。
しかも、このわんこ属性の少年は、鼻も良く利く。
恐らく、アッシュフォード学園内であれば、咲世子がどれだけ頑張ってルルーシュを隠してもスザクは見つけ出してしまうだろう。
その事を知っているジノとアーニャはとりあえず、スザクを見失わないようにしておく。
別に探す必要はない。
ルルーシュを連れている人間をとっ捕まえて、ルルーシュを奪取すればいいだけの話だ。
ロロもそう云った考えで今は身を隠している。
何も慌てなくてもいいのだ。
ルルーシュを連れてきた人間にギアスをかけてその隙にルルーシュを奪い去ってしまえばいい。
カレンはとにかく、そのスザクと互角の身体能力で学園の敷地内…片っ端から扉を開けて探しまくる。
とにかく、誰かから奪取するのは性に合わない。
自分の手で見つけて、自分の手で欲しいものはもぎ取る…
それがカレンのモットーだ。
ナナリーはと云えば…生徒会室の前でのんびりと待っている。
そう、ルルーシュを捕まえて人間は必ずここに来るのだ。
ナナリーが泣いてルルーシュに縋れば、ルルーシュは絶対にナナリーの元に来る事は最初からわかっているのだから…(この妹…愛する兄の為ならどこまでも腹黒くなる)
ただ…一つ問題なのは、ルルーシュの行方を知っていながらずっとウソをついて、隠し続けていたナイトオブセブンだ。
「お兄様は…私のものです…。スザクさん…あなたは…私の敵です…」
生徒会室の扉の前に車いすを据えてそう呟く。

 スザクの身体能力に怖気づいた生徒たちを、あのスザクが放っておく訳もなく、まるで忍者の様な動きで片っ端から生徒たちの持っているガーベラを奪い去って行く。
とにかく、失格者を増やしておけば、後で邪魔はされるかも知れないが、ルルーシュが奪われてしまう可能性は低くなる。
「邪魔者は、芽の内に摘んでおく…。確かにその通りだね…」
人好きするその笑顔の下にあるその本性を知る者達が見れば…恐らく顔面蒼白になる様な笑顔だ。
スザクを追って来るジノとアーニャだが…流石にジノに関してはしつこい女子のファンたちがまとわりついていて大変そうである。
アーニャの方はと云えば…アーニャのファンである男子生徒を利用すると云う事を覚えたらしく、まるでマイメロの様な表情で『お願い♪』(←これは『おねがい!マイメ◆ディ』を見て、必死に鏡の前で練習したらしい)とお願いしたら、その男子生徒たちは目をハートの形にしてアーニャの軍門に下ったのだ。
カレンは、その真っ直ぐな性格のお陰で、学園の敷地内を隅から隅まで探す。
大体、無印1話でブリタニア軍からC.C.の入ったカプセルを奪い去ったようなツワモノなのだ。
僅かな情報の中で目的の者をGet!するノウハウはあるらしい。
こんなイベントになっているので、リヴァルもニーナもさっさとリタイヤして、校舎の屋上から高みの見物を決め込んでいる。
ルルーシュのファンと云うのはなかなかコアなファンも多いし、あんな人間離れしている連中と争っていたら命がいくつあっても足りない。
彼らにとっては『ルルーシュを1週間貸切できる権利』は命をかけてまで欲しいものではないのだ。
「ねぇ…ルルーシュって…確かに綺麗だとは思うけど、どうしてあんなにもてるの?」 ニーナにとっての素朴な疑問だ。
「まぁ…あいつらに聞いてみたら?多分、3日は寝かせて貰えない程語ってくれると思う…」
リヴァルがため息をつきながら答える。
ゲームは始まったばかり…。
眼下に広がるは…ルルーシュを求めてまるで血みどろの戦いを繰り広げている生徒たちの姿…
こうして第三者的に眺めている分には楽しい。
この先は一体どうなる事やら…


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