今日はコスプレ祭り当日♪
これまでやった事のない取引をスザクとしたお陰で、力仕事などの体力的にきつい仕事がはかどった。
スザクもかなり無理をしてくれたみたいで…
ホント、ルルーシュの事が好きなのね…。
そんな事よりも、スザクったら、ルルーシュに執事役をやらせるなんて…
まぁ、それはそれで、楽しいのかもしれないけれど…。
いつぞやのゴスロリもかなり可愛く仕上げてくれた演劇部がいれば心配はないけれど…
。
一風変わったイベントになるのかしら…
とにかく、今回のイレギュラーなキャスティングで全校生徒が驚くかも知れないわね…
実際、どんなふうになって出てくるのか…私もちょっとドキドキしちゃってるしね。
それでも、ルルーシュが執事役になって、他の女の子がその相手のお嬢様役になるよりは良かったのかしらね…。
ルルーシュは、ルルーシュがにぶちんで気づいていないみたいだけれど、ルルーシュ狙いの親衛隊がいて、その親衛隊の決まりは『抜け駆け厳禁!』って事らしいし。
スザクが相手では多分、その親衛隊たちも何かするって事も出来ないだろうしね…。
ホントは…私がやりたかったなぁ…
なぁんて…。
いろんなコスプレ考えて、かなり大規模なイベントになりそう…。
こうしたモラトリアムが出来るのも、学生のうちだけだしねぇ…
楽しまなくちゃね…。
さぁてと…ミレイさんは、お仕事に向かいまぁ~す…♪
生徒会役員用控室…
とは言っても、全員がコスプレ衣装着用している。
今回もルルーシュとスザクが注目の的らしい…。
今回のキャスティングにまず驚いた。
「ルルが執事で、スザク君が、お嬢様ねぇ…」
シャーリーの意外そうな言葉に、みんなも頷いている。
しかし、くじ引きなのだから、ルルーシュが女装になるとは限らない。
というか、彼らはミレイが色んな小細工をして女装させる気でいたと思っていたらしい事にルルーシュ自身、少々呆れたと云うか、なんと云うか…
普段からミレイは小賢しい小細工をしている事があるらしい…。
「でも…ルルーシュって、男の人の恰好でも似合うのね…」
普段は殆ど言葉を口にしないニーナが小さく言った。
その言葉にルルーシュがぴくっと反応した。
「俺は男だ!ニーナは俺をなんだと思っていたんだ!」
ルルーシュの言葉にニーナはびくっとなって、ミレイの後ろに隠れた。
「ルルーシュ!ニーナをいじめない!」
「どっちがいじめているんですか!」
ルルーシュがミレイに怒鳴っているところにスザクが横やりを入れた。
「まぁまぁ、ルルーシュ…抑えて、抑えて…」
黒い執事のフォーマルに身を包んだルルーシュと白とピンクを基調にしたワンピースにふわふわの髪をかたどったウィッグをつけたスザクのツーショットは…。
スザクの筋肉質な身体を隠す為に出来るだけふわふわなワンピースを選ばれているだけあって、スザクの童顔な顔立ちに合っている。
ルルーシュも元々クールな雰囲気を醸し出しているだけあって、一人で出て行ったら、黄色い声の嵐だろう。
「そんな事より…リヴァル達の恰好もそれはそれで、なかなかだな…」
そう云って、他のメンバーたちに目を向ける。
リヴァルはメイド服、シャーリーは白いタキシードの新郎、カレンは神社の巫女、ニーナは日本の白無垢、ナナリーはアッシュフォード学園の男子の制服、ミレイは神社の宮司…。
ちなみにミレイとカレンがペアとなっている。
学園内はかなりの騒ぎとなっていて、少々混乱気味である。
確かに、全校生徒がコスプレして歩くのだから、着替えるスペースも必要だし、着替えを置いておく場所も必要。
それに、着るのが難しい衣装は演劇部や写真部の方に行って着替える事になるのだ。
「これ…1日で本当に終わるんですか?」
「終わらなかったら、明日もやるからいいのよ♪このままの恰好でいてもいいじゃない…」
ミレイの言葉にその場にいるメンバーが唖然としてしまう。
「開会の挨拶は今回はルルーシュだからね…。この通りの読んでよ?」
「……」
ミレイから受け取ってメモには…普段、ルルーシュが絶対言わないようなセリフが書かれている。
「いつもいつも…こんな事にばかり頭を使っているんですか?会長は…」
「時々、お見合いをどう断ろうか考えてる♪」
そんなミレイの言葉にルルーシュは、はぁ…と大きくため息をついた。
そんな二人のやり取りをしている間、他のメンバーたちは和気藹々とお互いの衣装の評価などの話などをしている。
「ねぇ…ニーナ…それ、重そうだね…」
「うん、これ、結構重い…。イレヴンのお嫁さんって、大変なんだね…」
普段は日本人の事を怖がってばかりいるニーナがそんな風に話す。
「まぁ、あんまり見かけなくなったけどね…そう云う衣装…どこから手に入れてきたんだろう…」
スザクが何気なくそんな言葉を口にする。
「!」
「……」
今の日本はエリア11という、ブリタニアの植民エリア…。
少しの時間…多分、本当に短い時間だったが、この場にいるメンバーたちには実際の時間の数倍の時間に感じただろうが、沈黙がこの場を支配した。
「でも、スザクが女装で、ルルーシュが男の恰好なんて…偶然とは云え、がっかりする人たち…いるんじゃない?」
そこで話を切り替えて口を開いたのがカレンだった。
「それでも、スザク君、すっごく可愛いじゃない…。ルルとは違う意味で人気が出そうだけど…」
「ルルーシュも今回は執事のタキシードだからなぁ…。女の子たちの黄色い悲鳴が聞こえる事間違いなしでしょ…」
ルルーシュとスザクのコスプレに話題がシフトした。
そうなると、また、ルルーシュとスザクで遊ばれるという事は解っているが、先ほどの雰囲気を考えると、こっちの方がいいだろう。
いつもなら、反対の衣装になる筈…。
くじ引きで決めているとは云え、周囲の脳内ワールドでは完全にそんな決まりになっている。
しかし、ルルーシュの中性的な容姿の陰に隠れながら、スザクもまた、作りのきれいな顔立ちをしている。
目もつぶらなため、女装させればかなりのものである。
「ルルの女装って、すっごく綺麗…って感じだけど、スザク君の場合って、可愛いって感じだよね…。女装姿でも、人気が二分しそうだよね…ジャンルが違うから…」
シャーリーがスザクの姿を見つめながら云う。
「そうかなぁ…。ルルーシュの場合は体の線が細いからいいけど、僕の場合は筋肉がつき過ぎでしょ…。やっぱり、こう云う恰好って、ルルーシュの方が合ってるよね…」
「そこまでふわふわスタイルになってれば解んないって…。でも、お嬢様の方が強そうだよな…ルルーシュとペアだと…」
リヴァルが茶化すように指摘する。
「まぁ、実際僕の方が腕力ははるかに強いし…」
生徒会室の隅っこでルルーシュは仏頂面でそっぽ向いていた。
そんな事は云われなくても解っている…そんな感じだ。
「ルルーシュ…ホントの事だからって、そんなにいじけなくてもいいじゃない…」
そんな心情を察してカレンが茶化しに入ってきた。
「ほっといてくれ…どうせ俺はスザクみたいな体力バカじゃないからな…」
身体能力に関して言われてしまうと、自覚があるだけに、どうも落ち込むらしい。
一応、気にはしているのだが…
「まぁ、ルルーシュがスザクと比べる事自体間違っていると思うけど?ルルーシュってば、女の私よりも体力ないんだもの…」
ミレイがやれやれと言った表情でルルーシュに言った。
そこでルルーシュがぷちっと切れたらしい…
すくっと立ち上がり、その場にいる全員を睨みつけた。
「そろそろ、開始の時間だと思いますけれど?会長…」
確かに雑談をしているうちに結構な時間が過ぎていた。
「あ…そ…そうね…。ルルーシュ…そんな怖い顔しなくても…」
鬼の形相に流石にメンバーたちも驚いている。
「なら、さっさと始めませんか?」
「じゃあ…放送室へ…行こうか…」
そう云いながら、生徒会メンバーが生徒会室を出ていく。
クラブハウス前のエントランスには生徒たちが集まっている。
放送室にはスザクとシャーリーとルルーシュが向かう。
他のメンバーたちはエントランスの方へ向かった。
「じゃあ、ルル、これ…」
「ああ…解っている…」
コメカミに青筋を立てながらも、一応仕事はしている。
『ピンポンパンポン…』
『これより、アッシュフォード学園生徒会主催、コスプレ祭りを開催する!参加者は全力でついて来い!』
言い終わると同時に花火の点火ボタンが押され、パンパンと花火が上がる。
そして、エントランスでは盛大な祭りが始まった。
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