今日も相変わらず、生徒会室はにぎやかだ。
珍しく、メンバーが全員そろっている事を含めて、私、ミレイ=アッシュフォードはちょっとご機嫌だったりする。
ここのところ、黒の騎士団と云う、ブリタニアから見れば、『テロリスト』、イレヴンたちから見れば『義賊』である集団がこのエリアを騒がせているお陰で、スザク君は軍の仕事でいない事が多いし、サボり魔のルルーシュがいない事は珍しくもなく…。
で、シャーリーは水泳部と掛け持ちで、大会とやらが近いとかで、ここのところ、ずっと、水泳部にかかりきりになっていた。
ニーナは何か思いつくたびに、格納庫に籠って、パソコンの前で何やらよく解らない事をしている。
カレンはもともと病弱で、学校を休みがちだし、ナナリーも本当は中等部だから高等部の生徒会室にばかり入り浸ってもいられない。
リヴァルはリヴァルで、生徒会室に入るんだけれど、あんまり仕事をしてくれないうえに、ルルーシュがいる時に押し付けた方が絶対に仕事が早い!
元々、アッシュフォード学園の生徒会って、私の独断と偏見でお祭りをする事が多い。
でも、こうして、全員が集まらない事には中々イベントもないものだ…。
短い学生の時間…出来るだけ楽しみたいじゃない…。
生徒会のメンバーはいつも呆れた様な顔をするけれど、でも、最後にはみんな笑ってくれる…事が多い…。
さてさて…今日のイベントは何にしようかなぁ…
「みんな、ちゅうもぉ〜く!」
ミレイが全員そろっているのを確かめて企画書らしき書類を生徒会室にいるメンバーたちに配った。
「なんですか?これ…」
書類をぱらぱらめくりながらルルーシュがミレイに対して質問をする。
「何って…次の企画に決まっているじゃない…」
「……男女逆転コンテスト?なんですか?」
ルルーシュの次に質問を投げかけてきたのは、ルルーシュの親友で、一番の新入りのスザクだった。
「……スザク…俺はあんまり聞きたくないな…。俺、宿題があるから…自分の部屋に…」
「待ちなさい!ルルーシュ!何を逃げようとしているの?別に、男女逆転祭りじゃないからいいじゃない…」
生徒会室を出て行こうとするルルーシュにどなり声に近いような声でミレイがルルーシュの動きを制止させる。
どうも、この会長はルルーシュを目立たせる…いい意味でならいいのだが…いつも、イベント後にルルーシュが追いかけまわされるとか、じろじろ見られるような企画が好みらしい…。
「この企画はねぇ…男女が逆転した服装になるのは当然なんだけれどぉ…今度はペアでやって貰います!まぁ、簡単に云うと、男女逆転カップルコンテスト…って考えてくれればいいかも…♪」
ミレイの一言にルルーシュはその場で凍りつく。
つまり、ペアになる相手を探さなくてはならないと云う事だ。
そのペアを探すために、自分の恋人が学園内にいる生徒ならばいいが…そうでない場合…。
勿論、ルルーシュにはそう言った存在はいない。
となると、この会長の事なので、イベント促進のために生徒会メンバーは全員強制参加…。
ルルーシュは、誰か、パートナーを探さなくてはならなくなる。
となると…男女逆転祭りのときは後が大変であったが、今度は、本番前からもみくちゃにされる可能性が大…と云う事になる。
「絶対に嫌です!それに…この企画書…本番前に誰と誰のペアを見たいかと云うアンケートをとってそのペアで参加…って…」
「コンテストだもの…やっぱり、投票形式でやらないとつまらないでしょ?」
楽しそうにミレイが話している。
ミレイとは反対にルルーシュは頭痛の色を隠せずにいる。
「あ、でも、投票によっては、男同志でも出られるんじゃん…」
リヴァルの一声でルルーシュは再び書類に目をやる。
「その時に、男同志なら、二人とも女装になるし、女同志なら二人とも男装だからね〜〜〜♪」
「あ、そうなると、スザク君との女装のツーショットってのもあるのね…。ルルとスザク君のツーショットって人気あるものねぇ…」
シャーリーが楽しそうに何かを創造している。
「まぁ、今回は事前にアンケートとって、上位10位のペアで出場って事で…」
「あ、会長、アンケート用紙までしっかり作っていたんですか?」
ミレイが一枚だけ別口の紙を渡した。
投票用紙だった。
「つまり…人気投票の上位に入らなければ大丈夫だと云う事ですよね?例えば、俺とミレイ会長、俺とシャーリーとか…ペアの相手が一致しない時には、その票は分散される訳でしょう?」
「まぁ、そうだけどねぇ…。でも、一人あたりに出せる候補って、3ペアだから…。それに、一度書いた名前はその投票用紙に二回は書けないって事で…」
これは、アンケートの集計も大変そうである。
ルルーシュはとりあえず、確実に出場しなくてはならないと云う決まりがないと云う事に安心した。
カレンとのペアで選ばれれば、絶対にカレンは当時作る筈もない。
しかし、カレンの場合、彼女の親衛隊が各自、自分とカレンの名前を書いて、確実に分散するに違いない。
となると、カレンに、親衛隊に行っておいて貰って、当日、カレンが休むと云う事で…
と、色々と頭を悩ませる。
こう云う時には、しょっちゅう居眠りしている彼も、頭をフル回転させるらしい。
「とりあえず…寮に戻ったら、全員、アンケートを配布してね…。それと、投票する時は教師の名前もOKだからねぇ…」
ルルーシュ以外は凄く楽しそうであるが、ルルーシュ自身、何となく嫌な予感がしていた。
この、ルルーシュをさらしものにする事に命をかけているミレイが、そう簡単に逃げ道を作る訳もない。
「俺…当日欠席な…」
結論はそこに辿りついた。
そう、当日、朝早くに出かけてしまえばいい。
普段から、サボりが多いからその日、いなくても、別にかまわないだろう。
「あ、スザク、その日はクラブハウスの部屋使っていいから、ルルーシュを見張っておいてね…」
「あ、はい…解りました…」
ミレイはどうやらルルーシュの考えそうな事はお見通しだったらしい。
がくっとルルーシュがうなだれるしかなかった。
「さぁ…楽しみよねぇ…♪」
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