前回から随分時間が経ってしまったが…
いよいよ、書き手側のネタ切れで涙にくれながら…過去の原稿を引っ張り出して、何とかネタ探しをしていたところ…この作品にたどり着いたらしい…
と云うか、ここのところ『ゼロレク』後1年の節目に近づいて来て…何ともシリアス超の話が増えている事に気づいた和泉綾が…何とか、明るい話を書こうと必死にもがいている様子がうかがえる。
今回集まったのは…本編でそれなりに顔は出ているのに、フルネームを出して貰えなかったキャラクターの面々で…
V.V.(こいつは本名すら出して貰えなかった)、C.C.(こいつも設定ではルルーシュしか本名を知らない)、マオ(二次創作ではそれなりに活躍しているのにね)、片瀬少将(こいつは単にヘタレの仕切り役となった訳だが)、草壁中佐(こいつは軍人だったくせにやり方が汚いテロリストとなり下がった)、(例によって)ルルーシュの護衛役(と云うより今では完全にこのネタでは炎上させる役回りとなっている)枢木スザク…
この顔ぶれを見るだけで充分に波乱の予感のする今回の『Cの世界のきのこたち…』だが…
「おい…なんで貴様たちがいる!?」
そう云って睨みつけた相手は…ここの誰よりも若く見えるが、ここのメンバーの誰よりも年食っている『コード』所有者二人組…
「今日は本編でフルネームを出して貰えなかったキャラクターが集まっているんだろ?まぁ、勝手についてきた枢木スザクはともかく、ここにいる全員、フルネームを出して貰っていないからな…。私とV.V.に至っては本名さえ出て来なかった…」
C.C.がしれっとそんな風に答える。
確かに…企画書にはそうあったし、趣旨としては間違っていないが…
しかし…
「ここにいるメンツ…基本的にC.C.以外俺を恨んでいる奴ばかりじゃないか…」
確かに…本編ではルルーシュに殺されちゃったり、(ルルーシュにはそんな気は毛頭なかったと思われるが)横恋慕されちゃったり、(実際にはルルーシュは関係ないのに)弟を盗られそうになって逆恨みしている奴だったり…
「否、ルルーシュ君…ここでは本編設定は関係ないようだ…。何でも、和泉綾の脳内ワールドを『萌え♪』で満たしてくれる会話をすればいいそうだ…」
そう告げたのは、(あんまり出番もなかったので話し方すらよく解っていない)草壁中佐だった。
「まぁ…あんまり犯罪的な事はしたくないのだが…」
これまた、ルルーシュを弄る気…と云うか、愛でる気満々の(これまた、喋り方があんまりよく解っていない)片瀬少将…
「それに…ルルーシュ…僕は本編でも云ったよ?『ちょっとは好きだったんだけどね…君はちょっとシャルルに似ているから…』って…。まぁ、一番はシャルルだけど…ここにはシャルルが出てこられないんなら、僕と遊んでよ…」
こいつ…姿形が10歳前後だし、この話し方を聞いていると勘違いしそうになるのだが…人間年齢でいけば…既に還暦を超えている…
こんな心配な奴らを相手に…ルルーシュはどこまで耐えられるのか!?
年季の入っている根性の持ち主を目の前にして…
ルルーシュは…とにかく、彼らの云う事を何とかスルーしようと努力を試みる。
このメンツ相手に、スザクが付いていては…ルルーシュに逃げ道など用意されている訳がない。(ルル:ハナから俺を窮地に追い込む為のシリーズじゃないか!)
「そう言えば…2期に入ってから、ちょっとだけでてきたブリタニア貴族だけど…コルチャックとか云う奴は?」
このアクの強い連中の中、人見知りの激しいマオがやっと発言したのだが…
そんなマオにC.C.が本編では見せた事のない優しい表情をして答える。
「それはな…マオ…。あの男は本編でもルルーシュに対してイヤらしい手つきで顔を触っているからな…。奴の命が危うくなるんだ…。あのルルーシュの後ろにいる騎士様がいるお陰でな…」
そう説明されてルルーシュの傍から離れない『ナイトオブゼロ』の衣装を身に纏ったスザクを指差す。
「C.C.…人を指差すのは良くないな…。それに…僕はルルーシュの騎士だよ?だから…ルルーシュを危険な手から守るのは僕の役目だろ?」
とっても黒いオーラを放ちながら…1期本編でマオに過去の記憶を抉られてその場に膝を折った人間と同一人物には見えない。
本編を離れ、和泉綾の脳内ワールドに放り込まれると…枢木スザクと云う男…ルルーシュの為になら悪魔に魂を売り払う事も厭わないキャラとなるらしい…
「し…C.C.…あいつ怖いよぉ…」
元々対人スキル0のマオにとって、枢木スザクの『黒るぎオーラ』はちょっときついらしい…
「スザク…頼むから…ここで、そうやって黒いオーラを撒き散らすのはやめろ…」
ルルーシュが突如黒オーラどころか殺気に満ちたオーラまで解放っているスザクに一言告げる。
「それって…皇帝としての命令?」
「……そうだ…」
ここのメンツの前で自分をブリタニア皇帝として存在させるのは命の危険すら感じそうなのだが…
それでも、このメンツならスザクが『命』は守ってくれるだろう…(その後の見返りは高いものになりそうだが…)
そして…この、黒オーラ全開、殺気をばら撒いている猛獣(マオにはそう見える)をきちんとコントロールしているルルーシュに対して…
「ごめん…ルル…。僕…本編でひどい事を…」
C.C.の背中に隠れながらルルーシュに対して涙目になって縋るように謝っている。
―――そんな…捨て犬みたいな目で見なくても…と云うか…このメンツではこの話の趣旨通りに進められるのか?
周囲の状況に…ルルーシュとしては戸惑いを隠せない。
と云うか、ここで、年配組みたちがいきなりお茶を始めている…
「お…お前ら!一体何をやっている!?」
お茶しているV.V.、片瀬、草壁が円卓囲んで茶をすすりながら好きな菓子を頬張っている。
「いやいや…我々はもう歳だからね…。それに…中々きのこの話題にならないからこうして、年寄り同士で親交を深めているのだよ…」
片瀬が可愛い孫たちを見ているような眼差しでそんな事をほざく。
「…きのこ…そう言えばそうだったな…。俺としてはあんまりその話題に降りたくはないのだが…お前らはどんなきのこが欲しい?と云うか…草壁はまだそんなにぽんぽこ山のじいさんみたいな事をするような年齢じゃないだろう!」
片瀬の言葉にルルーシュは切り返すが、どう考えても、藤堂が『草壁』と呼んでいたような相手だ…。
少なくとも、隠居オーラをばら撒く様な年齢でもあるまいに…
「いやいや…ルルーシュ君…。あの『コードギアス』シリーズでは私はただの老兵だよ…。良く云うではないか…『老兵はただ去るのみ…』と…」
すっかりほのぼのオーラを醸し出している草壁に対して本編のテロリストオーラはいったいどこへ行った?となっている草壁に…なんだか、ルルーシュもスザクも涙が出そうになる…
「そうだねぇ…僕だったら…ルルーシュをマッチョなスポーツマンにしてみるとか…。あ、でも、ボディビルダーみたいにするのは僕の趣味じゃないからね…。枢木スザクくらいでいいかなぁ…」
どうやら、この3人の中で外見上、とっても違和感のある姿だが、生きている時間でいえば、充分にこのお茶飲み組のグループに入っておかしくない…V.V.が一言云うと…
―――やっと本題か…って云うか、また俺がネタかよ!
ルルーシュはつい、そんな事を考えてしまう…
そして…そこから、ちょいと遅れ気味の感は否めないが…続々と各々の意見が出て来る。
「おい!V.V.…ルルーシュに筋肉をつけたらルルーシュじゃないだろ…。こいつは、ヘタレで、女に抱きかかえられそうなほど細くて、女よりも腰のくびれがあって、胸のない女みたいな体型だからこそこいつだぞ…」
C.C.が…何か間違っているのだが…それでも納得してしまうようなルルーシュ像をこの場でぶっちゃける。
確かに…ルルーシュはそれでこそルルーシュなのだ…
「そうだ!ルルーシュが僕みたいな体型になったら…僕は耐えられない!だって…僕はルルーシュにピーをピーして、ピーにするんだから…」(ピーは自主規制って事で)
そんな事を力説するのはルルーシュと敵対したかと思えば、最後にはちゃっかり、皇帝の騎士と云うのは12人いる筈なのに、唯一の騎士に指名されちゃったスザクだった…
そのスザクの力説に…故枢木ゲンブ首相の下で軍人をやっていた片瀬と草壁が複雑な表情を見せる…
―――枢木首相…あんた、一体どういう息子の育て方をしたんですか…
確かに…軍にいると、そう云う道に走っちゃう軍人さんがいると云う事実は否めないのだが…(なにせ、男ばっかりの職場で、しかも、激しい戦闘の後とか、命の危険にさらされている時にはそう云った本能は強く働くのだ)
「でも…シャルルだって…昔は貧弱でさぁ…。僕がいつも守ってあげていたんだよ?でも、成長に連れてなんか…努力していたのかなぁ…。皇帝になる頃には結構筋肉質になっていたんだけどなぁ…」
V.V.の言葉に…その場にいたルルーシュ以外のキャラたちが…後、10年、ルルーシュが本編で生きていて…普通に人間として存在していて…V.V.が今云った、シャルルのように筋肉質な体型になったところをうっかり想像してしまう…
「ゲッ…」
「ありえん…」
「それは…ちょっと…」
「想像しにくいな…」
「駄目!絶対にダメだ!ルルーシュが…筋肉ついて、マッチョになるなんて!ルルーシュは筋肉がなくて、体力がなくて、女の子みたいだから…だからこそ、ライバルも多いんだけどさ…。ルルーシュなら何でもいいけど…でも…やっぱり僕は今のルルーシュが一番好きなんだよ!」
最後の発言は…誰がいったかなど云わずと知れているが…
しかし…全員が全員…煩悩に走っている目でルルーシュを見ている事が窺える。
―――こいつら…俺と大して話もしていない…と云うか、話もしていない奴もいるってのに…なんでこう言う目で見ているんだ!?これも和泉綾の所為か?(←その通り)
確かに…ルルーシュ自身、自分がスザクの様な筋肉をまとっている姿を想像できないが…
ただ…V.V.が何を考えてそんな発言をしたのか…真意を知りたい…
「V.V.…お前、絶対にこうした反応が(不本意だが)見られる事を解っていて何故、そんなきのこが欲しいなどと云う?」
ルルーシュが逆毛立たせている猫の様な表情でV.V.に詰め寄る。
「ん?別に…面白そうだったから…。安心してよ…。僕、君に対しては『萌え♪』とやらよりも、『苛めたい!』と云う気持ちの方が強いから…」
ルルーシュは…心底思う…
この目の前の…見た目子供の伯父は…絶対にルルーシュに喧嘩を売っていると…
「キサマ…お前…いつから和泉綾の手先になった???」
相当怒り心頭のルルーシュがV.V.の胸ぐらをつかんでいる。
「いつからって…和泉稜ワールド内では全員が彼女の手先じゃないか…。君は…頭がいい癖にバカだよね…」
自分の3倍以上生きている目の前のV.V.が子供の姿をしているせいか…云われて異様に腹が経っているのは多分…気の所為ではない…
口調も子供だから余計に腹が立つ。
いつの間にか妄想の世界から還ってきた連中…
なんで還ってきたかと云えば…
その、華奢な体でV.V.に掴み掛って、真っ黒オーラを如何なくばら撒いているルルーシュの殺気に気づいたからだ。
尤も…V.V.の方はそんなルルーシュの殺気など何も堪えていない様子だ。
「ルルーシュ?V.V.を襲っているのかい?そんな事したら、僕、V.V.を全力でつぶすけど…いいかな?」
にっこり笑いながら物騒な事を云い放つ…(誰なのかは今更ここで云うまでもない)
「ルル…そいつ…ルルにひどいことしたの?」
マオがいつの間にかルルーシュに懐いて、でも、スザクの黒い笑顔に恐れをなして相変わらずC.C.の陰に隠れながら聞いている。
「お前らが妙な想像ばかりしているからだろう!こいつはきっかけを作っただけで、俺の怒りはお前らが作っているんだよ!」
周囲の気配に更に怒りを燃焼させるルルーシュ…
そんな彼らを妄想の世界から還ってきた茶飲み組の2人が相変わらず茶をすすりながら、ほのぼのした風景だと感慨深げに眺めている。
「だってルルーシュ!君がマッチョな姿になるなんて…耐えられない!」
「そうだよ…ルル…。ルルは頭がいいけどバカで、体力に自信のない…それでこそルルだよ!」
スザクとマオのこの言葉にルルーシュは更に拳をフルフルと震わせる。
尤も、マオ一人に対してだってルルーシュ一人では体力ではかなわないと思われる。
―――冷静になれ…俺!こいつらに体力勝負で挑んでも…恐らくは…スザクならそのままベッドに連れ込まれ…マオの場合はどっかに拉致される可能性が高い…。だから…ここで俺が怒りにまかせてこいつらに喧嘩を売るのは得策ではない…だから…云々…
色々頭の中で考え始めたルルーシュだったが…
「あ、またルルーシュが無駄な事を考えている…」
「なんか…僕たちの事を怒っているみたいだけど…体力ではかなわないからって悩んでいるみたい…」
マオがここで『ギアス』を使い、ルルーシュの思考を読む…
「マオ!また俺の頭の中を読むな!」
ここでまた、彼らの痴話げんか(?)が始まり…
お茶飲み組にはV.V.とC.C.が仲間入りする。
「若いっていいねぇ…」
「確かに…活気がありますな…」
「おい…ピザはないのか…」
「日本茶って美味しんだね…。僕おかわり…」
とまぁ…すっかり傍観者となり、茶を飲んでいる。
そして…この話は…いつの間にか、ルルーシュのヌードの話で盛り上がり…夜が更けて行く…
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