シャルルパパと愉快な仲間たち


 シャルル=ジ=ブリタニア…(通称、シャルルパパ) 神聖ブリタニア帝国第98代皇帝陛下だ。
シャルルパパの周りには、たくさんの人間がいる。
そりゃ、皇帝陛下ともなれば、プライベートなどと云うものとは程遠い生活になるが…
しかし、シャルルパパの周りにはたくさんの人々がいる訳だが…シャルルパパにもお気に入りがいた。
ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア…シャルルパパの可愛い可愛い息子ちゃまだ。
とにかく、ルルーシュを怒らせたり、悔し涙を流させたりすることでシャルルパパは『萌え♪』を感じてしまうのだ。
まったく、いい年こいて困ったものなのだが…
それでも、好きな物は好きなので、しょうがない…
しかし、このルルーシュ…本当にかわいく生まれ過ぎてしまって、シャルルパパの周囲にはライバルもいっぱいだ。
まずは、目障りな枢木スザクと、シャルルパパの息子ちゃまの一人であるシュナイゼル=エル=ブリタニア…
とにかくこの二人のルルーシュへの執着ぶりは皇帝として許すまじきレベルに達している。
だから、枢木スザクをルルーシュから引き離すべく、自分のナイトオブラウンズに入れては見たものの…
適当な理由を付けて、こいつはとっととルルーシュの通うアッシュフォード学園に戻ってしまった。
しかも、ルルーシュが溺愛する、ナナリーを守ると云う口実の元に…だ…
悪質極まりないのだが…結構正論語って説得されてしまった。
そして、ルルーシュの記憶をちょこっと改竄したのだが…その時のルルーシュのいたいけな姿の監視ビデオや音声が残っている筈なのに…一向にその現物がシャルルパパの元へ届けられる事がない。
いつも、ルルーシュの様子について報告をして来るのは…アッシュフォード学園に派遣した、『ゼロ』の正体がルルーシュだと突き止めたんで、仕方なく、男爵位をくれてやった女戦士のヴィレッタ=ヌゥからの口頭による適当な報告だけだ。
ルルーシュの隠し撮りビデオはシャルルパパの『ルルーシュコレクション』にしようともくろんでいたのだが…
どうやら、ナイトオブラウンズの地位を悪用して、枢木スザクが全てかすめ取っていっているらしい…
何とも許されざる行為だ…
シャルルパパ曰く…『可愛い息子の健やかな成長を見守るのは親の務め…』との事…
ここで、恐れ多くもあるツッコミを入れた者がいた。
それは、シャルルパパのナイトオブワンであるビスマルク=ヴァルトシュタインであった…
「陛下…陛下には他にも数多くの皇子殿下、皇女殿下がいらっしゃいますが?」
そんなツッコミにもシャルルパパは挫けたりはしない。
「ビスマルクよぉ…きちんと人の話を聞けぇ…。わしは、『可愛い息子』と云った筈…。わしにとって、『可愛い息子』は一人しかおらぬではないかぁ…」
そんな事を云いながら、巻き舌全開でお笑いになったそうだ…

 シャルルパパの側近であるビスマルク…
その辺りは慣れたものなのか…云っても無駄と諦めているのか…
曖昧な笑いを浮かべて
「はぁ…御尤もです…」
とだけ答える。
シャルルパパ自身、実際にルルーシュに対する愛情は並々ならない。
ルルーシュに興味、関心を持って貰おうと、それは、それは、大変な努力をされている。
本当は『ゼロ』の正体を察知しておりながら、そして、自分の命令で植民エリアとした日本で愛するわが子がテロリストになっちゃった事にさえ(ある意味異様な)喜びを感じ、可愛い息子に遊んで欲しいとばかりに色々と画策を施している。
恐らく、本来許されないナンバーズのナイトメアの騎乗…
シャルルパパが愛するわが子の頑張る姿を見たいが為に超法規的措置をとり、本当なら、自分の愛するわが子の心を持って行ってしまった憎き小童に細心のナイトメアの騎乗を許しちゃっているのだ。
と云うか、シャルルパパのライバルは数多い。
無駄に頭がいいと云う事で、神聖ブリタニア帝国の宰相閣下に任じた第二皇子である、シュナイゼル=エル=ブリタニア…
こいつは相当な曲者だ。
一応、『執着を持たない男』設定と云う事なのだが…
こいつの場合、シャルルが退場した後にルルーシュに対して『私が最も愛した異母弟です…』などと、堂々と愛の告白をしちゃっているのだ。
こんな愛の告白を大ウソで出来ちゃうのなら、育て方を間違っていたかもしれないと…育てた覚えもないのに思ってしまうし、本気であるのなら、由々しき事だ。
自分の息子ながら…シャルルパパは思ってしまう。
―――こいつはいったい誰に似たのだ?
まぁ、欲しい者の為なら、大切なルルーシュを傷つけてでもルルーシュを手に入れちゃおうと云う根性は絶対にシャルルパパに似たと思われるが…
それに、ルルーシュに目を付けると云う、趣味の良さは…恐らくはシャルルパパからの遺伝と言えよう。
ルルーシュだって、別に、全ての皇子や皇女から愛を捧げられていたわけでもなさそうだし…
たまに、ツンデレ設定で、素直に表せなかった気の毒なキャラクターもいたかもしれないが…
それでも、第一皇子のように、完全に幼女趣味に走っちゃっている奴もいるので…
その辺りは皇族すべてが同じ趣味…と云う事でもなさそうである。
ただ、競争率は非常に高いと思われる。
それに、枢木スザクを見ても解る通り、別に、ブリタニア皇族に限らず、シャルルパパからルルーシュを奪い去ろうと云う輩はいっぱいいるのだ。
そう…シャルルパパにブリタニア皇帝と云う身分と地位と権力があっても、決して油断ならないのがこの世界だ。

 ルルーシュの愛らしさは何も、こいつらだけをターゲットにふりまかれている訳ではない。
あまりに危険過ぎて近づけなかったのが、ルキアーノ=ブラッドリー…シャルルパパのナイトオブテンだ。
こいつの趣味はあまりに鬼畜過ぎて、ルルーシュの困った顔や、泣いた顔、怒った顔に『萌え♪』を感じてしまうシャルルパパでも近づけたくなかった。
逆に、アーニャ=アールストレイム…シャルルパパのナイトオブシックスのように、堂々と隠し撮りして許されるキャラクターは非常にありがたい。
シャルルパパも彼女を大いに重用し、時々、こっそり、アーニャが堂々と撮った隠し撮り写真をGet!しているのだが…
その度に、シャルルパパの側近であるビスマルクは…普段はそれなりに威厳を放っている皇帝陛下のでれでれと顔を赤くしている姿を目撃している。
時々、ここまで、偏った愛情を向けられているシャルルパパの最愛の息子ちゃまに対して、ちょっぴり同情の意を抱いてしまうのだが…
それでも、その度にビスマルクは
―――私が仕えるべきは…シャルル=ジ=ブリタニア皇帝陛下…ただお一人…
と、必死に自分に言い聞かせている。
ここまで息子に対して妙な愛情を抱いている自分の主に対して少々、疑問を抱かない訳でもないが…
しかし、ビスマルク自身、自身が惚れてしまったマリアンヌ皇妃の息子ちゃま…ともなれば…納得できる部分もあったり、なかったり…
あの、絶世の美女のマリアンヌ皇妃に生き写しの息子ちゃまだ。
それはそれは美しい息子ちゃまだ。
ルルーシュが主であるシャルルパパのお気に入りの息子ちゃまでなければ、それこそ、ビスマルク自身が彼を拉致監禁して、最上級の愛情を持って愛でていたいと思うくらいなのだが…
それでも、一応、シャルルパパはビスマルクの主だし、この物語では『シャルルパパと愉快な仲間たち』の中の、『愉快な仲間たち』のカテゴリーに入っているらしいので…
正直、その部分に関しては一番の貧乏くじを引いちゃった気がしている。
他のメンツはシャルルパパを主としていても、あっさり裏切って見ちゃうようなキャラクターたちなので…
そもそも、ビスマルクは思う…
―――本編ではマリアンヌ様をお慕いしていると云う設定だったのに…何ゆえにシュナイゼル殿下の元に走らされたのだろうか…
と…
本当なら、シャルルパパがいなくなった時点で、美しいルルーシュ皇帝の下、枢木スザク、ジェレミア=ゴッドバルト、篠崎咲世子と共に、ルルーシュ皇帝にとってのナンバーワン争いをしたかった…

 一方、ルルーシュを手に入れようとして失敗続きだったシュナイゼルは…
この、本編内でのシュナイゼルの扱いには本当に涙にくれていた。
―――こんなにもルルーシュを愛していると云うのに…本編では枢木スザクに…Sound Episodeではシャルル皇帝にすっかり美味しいところを持って行かれてしまっている…
確かに…云われてみれば、シュナイゼルほどルルーシュに対する情熱的な愛の告白をしているキャラクターはいないと云うのに…
その行動に対して全く報われていないように思われる。
性格としては、確かにとってもいい性格をしていると思うのだが…
それでも、あの言葉にウソ偽りがなければ、彼ほどルルーシュを愛しているキャラクターはいないかもしれない。
その愛を向ける方向が間違っているかもしれないと云うツッコミもありそうではあるが… そもそも…
シュナイゼルの場合は石橋を叩いて渡るタイプに見えるのだが…
時折、石橋を叩きすぎて叩き割っている様にも見える。
もし、ルルーシュを拉致したいのであれば…枢木神社でちょっとだけ、ルルーシュを庇って見せてやれば、あの時のルルーシュの状況だったら…事と次第によってはシュナイゼルに靡いていたかもしれない。
仮にも、ウソで塗り固めた笑顔が得意なキャラクターなのだ。
決して本心を相手に見せないと云う特技があるのであれば、ルルーシュを拉致監禁したければ、もっとやり方もあっただろうに…
ルルーシュ自身、頭がいいようでいて、バカだから…
そもそも、スザクにあれだけ手ひどく頭をぐりぐりされた後に、ちょこっと優しい声をかけられただけでスザクに心を許しちゃっている程のアマちゃんなのだ。
シュナイゼルがもう少し上手にやれば、ルルーシュは完全にシュナイゼルの者となっていた可能性が高いのだ。
「カノン…何とかもう一度…『コードギアス反逆のルルーシュ』本編を最初から作り直せないかな?あれでは、私が可哀そうだ…」
こう云ったセリフをさらっと吐けてしまうこのお兄様も凄いキャラクターだが…
それに一つ一つきちんと対応できる側近、カノン=マルディーニも流石である。
「殿下…恐らく、公式では無理でしょうが…ここで、二次創作作家の皆様にお願い申し上げて見るのはいかがでしょうか?殿下も、『ルルーシュ様といちゃいちゃラブラブをしたいと…。出来れば、シャルル皇帝陛下と枢木卿をコテンパンに蹴落として…』とお願いされてみては…?」
「流石だね…カノン…。ルルーシュといちゃいちゃラブラブをしたいのだ…。出来れば、シャルル皇帝陛下と枢木卿をコテンパンに蹴落として…。是非ともそんな私に優しい世界を作って欲しい…」
カノンはそんな主を可愛いと思いつつも、複雑な表情で見つめている。

 最後に…ルルーシュをシャルルパパに売った褒美としてナイトオブラウンズになっちゃった枢木スザク…
こいつは…どうにもキャラクター的につかみにくいのだが…
しかし、さりげなく、本編では美味しい立場にいる様な気がする。
ルルーシュが捕らえられたスザクを助ける為に『ゼロ』になっちゃったり…
ジェレミアに『ここにいるブリキを全員助けてやるからスザクを頂戴♪』と云って貰ったり…
ルルーシュのスザクへの恋心ゆえに不本意ながらも(愛の)『生きろ!』ギアスをかけて貰っちゃったり…
ルルーシュを捕らえてブリタニアの拘束服に着替えさせて、傍目から見ても結構『萌え♪』な恰好にさせてみたり…
あのルルーシュの頭をぐりぐりしてSMプレイを楽しんでみたり…
そんな事をしてもちょっぴりあまい言葉をかけただけでルルーシュに許して貰えちゃったり…
裏切られたとルルーシュが思った時に泣いて怒って貰えちゃったり…
裏切った後も、最終的には最大限の信頼を得て、ルルーシュのナイトオブゼロにして貰えちゃったり…
空白の期間があって…周囲からは『おまえら!その空白の期間に何をしていやがった!!』と言わしめたり…
ルルーシュに愛を叫んでいるキャラクターとしてはこれ以上美味しいキャラはいないだろう…。
シャルルパパが丹精込めて育てた…マゾっこ息子ちゃま…
こいつほど美味しく頂いているキャラクターはいないだろう。
きっと、Cの世界でシャルルパパは悔しがっている事だろう…
「ルルーシュは…ルルーシュは…わしの『My Sweet San』だぁぁぁぁぁ…」
と巻き舌全開で叫んでいるに違いない。

 シャルルパパの周囲にはルルーシュ大好き人間が多すぎた…
それ故に、シャルルパパが堪能するべくルルーシュをマゾっこに育て上げようとして…他の連中に目を付けられ…
そして、ルルーシュは反抗期まっ盛りでまったくもって言う事をきかなかった…
シュナイゼルが云っていたが…
シャルルパパもルルーシュを堪能する為に…是非とも『コードギアス反逆のルルーシュ』本編を作り変え、本当なら、シャルルパパ専用のマゾっこルルに作りたいに違いない…
あのプライドの高さで涙目になりながらも…屈辱に打ち震えながらこちらの傍若無人を聞き入れさせる…
これを『萌え♪』と云わずしてなんと云う…。
しかし…シャルルパパの趣味はどうやらとてもよかったらしく…他にも目を付ける連中がわらわらと湧いて出てきてしまったのだ。
他にも、ルルーシュを愛してやまない連中がごまんといる『コードギアス反逆のルルーシュ』だが…
シャルルパパは、これからどうやって、自分専用のマゾっこルルを構築しようか…この期に及んで考えているのであった…

『others short story』へ戻る
『Novel』へ戻る トップページへ

copyright:2008-2009
All rights reserved.和泉綾