もし、ルルーシュが○○だったら…


 ここに集まっているのは、本編での設定はどうであれ、あの鬼脚本なんてくそくらえ…じゃなくて、スルーしてしまえ!なルルーシュを愛してやまないキャラクター達である。
具体的には…枢木スザク、ディートハルト=リート、ユーフェミア=リ=ブリタニア、シュナイゼル=エル=ブリタニア、シャルル=ジ=ブリタニア…合計5名の面々である。(ほかにもたくさんいそうなのだが、これ以上集まると収集つかなくなるので)
今日のお題は…『もし、ルルーシュがメイドだったら…』という、ルルーシュの性別を(意図的に)すっかり忘れ去ったお題となっている。
これは恐らく、今回の出席者でなくとも、『どんなメイド服がいいだろう…』と、ついうっかり真剣に考えてしまいそうなお題である。
ちなみにこの文章を打っている本人の希望としては、『ローゼンイデン』の苺風の…ピンク基調のゴスロリ衣装にフリフリエプロンを…(←誰も聞いてない!)
絶対にギャップ萌え…(←だから聞いてないって!)
話は横道にそれたが、ある意味、『コードギアス反逆のルルーシュ』シリーズの中でも相当、ルルーシュ愛をオーラ化している面々がそろった訳だが…(ここにナナリーがいないのは…ここで彼女を出してしまうと、黒化したスザクとユーフェミアを抑える自信がないからです。)
そう…ここに集まってきているのは…自分自身の手で、ツンデレルルーシュを自分の色に染めたいと云う…ある意味、一部の『コードギアス反逆のルルーシュ』視聴者の願望をも網羅している煩悩とも云えるかもしれない。
そして、ここで、ルルーシュが登場してこないのは…ルルーシュが暴れ出す事を恐れた訳ではない。
むしろ、こんな場にルルーシュがいたら、ルルーシュが煩悩いっぱいの彼らにあんな事や、こんな事…あまつさえそんな事までされてしまう恐れがあるからである。
流石に、この話をお笑いで済ませたい作者としては、そんなところに放り込む訳にもいかないと判断した。
忘れてはならない…
この中には、彼の親友を使って、『ブリタニアに反旗を翻した不肖の息子』と称して、24時間、365日、隠しカメラ使って自分の息子を監視していた父親や、その命令にかこつけて、ラウンズの地位を利用して、その隠し撮りビデオをこっそりコピーしてお宝にしている親友(この設定は和泉の独断と偏見設定)や、ルルーシュが親友と信じていたナイトオブセブンを使ってルルーシュを拉致しようとした異母兄まで存在するのだ。
ちなみに、異母妹ながら、彼の実の妹と『将来ルルーシュのお嫁さんになる!』と、喧嘩していた女もいる。
流石に、こんな中にルルーシュを放り込むのは…多少…良心の呵責が働かない訳でもない…
とまぁ、長い余談はここまでにして、とっとと話を進めよう…

 最初に口を開いたのは…
「ルルーシュでしたら…オーソドックスに濃紺のワンピースと白いフリフリエプロンでしょう!それで…『ユフィお嬢様…お茶の御用意が出来ました…』とか云いながら、うっかりさんなルルーシュがお茶を入れるのを失敗しちゃって…そして…泣きそうになっちゃうんです…。そんなルルーシュを私がそっと慰めてあげるんです!」
そんな風に力説するのは、幼い頃、異母妹と『ルルーシュのお嫁さん』の座を争っていたユーフェミアだ。
今となっては、『ルルーシュに私のお嫁さんになって貰います!』と豪語しているのだ。
周囲もこんな乙女な…しかもあまりの王道な設定に暫し、脳内ワールドでルルーシュのうっかりミスや、失敗して悔しそうに(もしくは、怯えたように)涙ぐんでいる姿を堪能する。
ただ…一つ問題なのは…ルルーシュはそこらの主婦よりも遥かに家事が得意で、完璧にこなすのだ。
そこに考えのたどり着いたスザクが続いて口を開いた。
「ユフィの云っている事には無理があるよ…。だって…ルルーシュの家事って完璧なんだよ?ルルーシュが『ゼロ』になるまで、咲世子さん、一体何をしていたのかと思うくらい…。多分、ルルーシュが学校へ云っている最中にナナリーを病院に連れて行く事くらいしか仕事がなかったんじゃないかと思うくらいに…」
確かに、Sound Episodeでも、その事は証明されている。
まして、ナナリーに食べさせる食事、飲ませるお茶に至っては…確実に王宮付きの女官たちも真っ青なほど、完璧なものが出されている事は確かである。
まぁ、咲世子の場合、メイドとしての実力は勿論、戦うと無敵設定と云うおまけつきなので、アッシュフォード家も仰々しいボディーガードをつけるよりも、メイドとしてカモフラージュできるボディーガードを使ったと考えるのが(多分)自然だろう。
「そぉんなに…『まいすいーとさん♪』の家事は完ぺきだったのかぁ?枢木…」
「そりゃあ…もう…。多分、ルルーシュがアッシュフォード家でナナリーを守っていた頃は…世界で一番おいしいものを食べていたのはナナリーだと思います…」
こいつ、解っているのか、いないのか…ここにいる全員の嫉妬を集める発言をぶちかます。
流石…空気を読まない枢木スザク…
「では…枢木卿?君はルルーシュの…世界一美味な食事を堪能したのかい?」
静かなる怒りを彷彿とさせながらシュナイゼルが尋ねる。
「はい!ホント、ルルーシュって、何を作っても美味しくって…。あ、ちなみに、ルルーシュが皇帝になる前1ヶ月は、ルルーシュの手作りの食事を堪能させて頂きました♪」
周囲からの怒りは全て、ルルーシュへの愛ゆえか、元々そんなもの意識もしていないのか、普通の人間ならその場にいるだけで身の毛もよだつようなオーラを適当に受け流しながらにこやかにそんな事を話している。
「スザク?あとで、ちょぉ〜っとお話…しましょうね?」
ユーフェミアの真っ黒なオーラも完全に受け流しつつ…スザクに話しかけると…
「あ、ごめん…今日はルルーシュと食事の約束しているんだ…。ユフィ、君の気持ちは嬉しいけど…」
どこまでも空気を読まない男…枢木スザク降臨…

 いい具合に空気がギスギスしてきたところで、更に話はすすめられる…
「そうだな…私なら…ユフィの提案した衣装でいいと思うが…スカート丈は絶対にひざ上20cm…それだけは譲れないな…」
紳士的な表情をしながらも、セクハラする気満々の異母兄…シュナイゼル…
本編であのままルルーシュを拉致出来ていたなら…ホントにそんな事をさせていたかもしれない…
『君が云う事を聞いてくれないと…ナナリーはどうなっても知らないよ?』
とか云って…
とにかく、人の弱みに付け込ませたらこの男の右に出る者はいない。
それは…誰が云わなくとも『コードギアス反逆のルルーシュ』本編で証明されていると思われる。
「シュナイゼル異母兄さま…ルルーシュにそんなカッコをさせてどうするのです!」
先ほどのユーフェミアの妄想も相当なものだと思われるが…こう言う時はしっかり噛みついて、ルルーシュの事を心配していると云う姿を見せておく。(誰に?)
「そんな色っぽい姿のルルーシュ…誰にも見せる訳にはいかない…。私専属のセクハラメイド…じゃなくて、お世話係としてその、完璧な家事の腕前で私の身の回りの世話をして貰うのだよ…」
ここで…この場にいた全員が思う…
―――身の回りの世話って…多分…あっちも世話もさせる気か? と… 「シュナイゼル…やはり貴様はとっとと成敗しておくべきだったな…」
ぼそりと呟いてしまったシャルルの言葉に…シュナイゼル以外の人物は全員激しく頷いてしまった。
―――こんな横巻きロールでも…たまにはいい事言う…。しかし、実行してくれていたらもっと褒めてあげたのに…
と…
「儂なら…そうだな…」
自分の出番をさっさと作りたかったシャルルが口を開いた。
「陛下?」
こいつは既に、ルルーシュの盗撮ビデオがあるからそれでいいだろう…とか思わず思っちゃったりしているが…
ディートハルトなどはそれを未編集で是非とも欲しいと考えている。
その為ならこの、横巻きロールの声のでっかいおじさんに忠誠を誓ってもいいとさえ、一瞬思ってしまう程に…
「皇帝は…どんな事をお望みなのです?」
それだけのお宝を持ちながら、まだ、何かを望んでいる目の前の権力絶大男の言葉に興味を持ったのもある意味ジャーナリストとしてのサガだろう。
「やはりぃ…膝枕でぇ…耳かきかのぅ…」
意外と盲点を突いていると云うか、王道の『萌え♪』と云うべきか…
しかし、スザクは訴える…
「そんな事は、奥さんにやって貰って下さい!メイドの仕事じゃないでしょう!」

 スザクの言葉に一切の動揺を見せず、シャルルは切り返した。
「枢木よ…あのマリアンヌが…そんな事をすると思うてか?」
シャルルの一言に…その場の空気が固まった…
確かに…
あのマリアンヌが…膝枕で耳かきをしろと云われて…素直にするとも思えない。
彼女の場合、ルルーシュと違って怖いものは何もない。
ルルーシュのようにナナリーを使って脅すなんて芸当の通じない相手だ。
「申し訳ありません…皇帝陛下…」
自分の過ちに気付き、スザクは素直に謝ってしまった。
そして、その場の全員がルルーシュの膝枕で、耳かきをして貰い…時々、『ふっ』と耳に息を吹きかけられ…
そんな妄想に身悶えてしまいそうになる。
「出来れば…メイド服じゃなくて、日本の浴衣…なんて素敵ですよね…」
うっかり、男どもの妄想に仲間入りしているユーフェミアがそう呟く…
その言葉に『否』を唱える者は誰ひとりとしていない。
「それで…眠ったふりをして…膝枕を堪能するのも…私は素晴らしいと思いますが…」
ディートハルトの言葉に全員が頷いて見せた。
「そこで…ルルーシュに『まったく…仕方ないな…』とか云われて更に『萌え♪』…」
「そうして、頭を撫でて貰う…これは最高だね…」
どこまでも煩悩に走りまくる今回の参加者だが…
そこに油を注ぐディートハルトの真意はどこにあるかは…謎である。
ただ…ディートハルト自身、本編でも解るように『ゼロ』に対しての偏った盲愛振りは皆の知るところである。
実は、『ゼロ』を裏切ったのかと思いきや…それでも、『ゼロ』への愛情が忘れられず、最期の最期には『私にギアスを…』などと、『ふざけるのも大概にしろ!』と云ってしまいそうなセリフを残している。
そう言えば…この中でルルーシュの『ギアス』を掛けて貰えなかった唯一のキャラクターである。(シャルルの場合、『コード』を奪い取っちゃったので、生き返っちゃっただけでちゃんと『ギアス』にかかっている)
スザクには(愛の)『生きろ!ギアス』…ユーフェミアには『うっかりギアス』…シャルルには『大概成仏しやがれ!ギアス』…シュナイゼルには『もう悪さすんなよ!ギアス』…。
「私は…『ゼロ』がメイドとなった暁には…その『ギアス』で…『奴隷になれ!』と命じられ…毎日そのおみ足に頭を踏まれたい…」

 そこまで聞いた時点で、他のメンバーは思う…
―――そこまで思ってんなら『ギアス』はいらねぇだろ…。ついでに、お前はルルーシュの事をそんな目で見ていやがったのか…
と…
まぁ、後半に関してはこのメンバーがそんな風に思う資格はみじんもないと思われ…
「僕としては…やっぱり…『お帰りなさいませ…ご主人様…。先にお風呂にしますか?お食事にしますか?それとも…俺…?』なぁんて、顔を赤らめながら云われたら最高に幸せです…。それ以上何も要りません!」
ある意味王道と言えば王道なのだが…
「スザク?それは、メイドのお仕事じゃなくて、奥様の仕事でしてよ?ルルーシュは私のお嫁さんになるんです!大体、そこまでやって貰って、他に何が欲しいっていうのです!」
いろんな意味で怒りをあらわにするユーフェミア…
「そうだ…枢木卿…。君の考える事はどす黒い煩悩に満ち溢れているね…」
と、自分の事はすっかり棚に上げてスザク批判へと回る。
「貴様…ラウンズのくせにわしに逆らうか…」
否、お父さん…スザクは多分、あんたに逆らってませんって…
「おお…素晴らしいカオスだ…」
こいつは既に、何を求めているのか解らなくなっている…。
『カオス』を求めているのか…『メイドルル』を求めているのか…
尤も、尋ねたところでろくな答えが返ってこない事は解っているので、誰もが敢えて無視しているが…
しかし、そんなディートハルトの周囲の人間の思いはともかく、現在の状況はディートハルトの大好きな『カオス』の世界と言えよう…。
実際に、収拾がつかなくなってきて、このネタ持ってきたのは間違いだったのだろうかと…ついうっかり後悔しそうになっているのは現在この文章を打っている和泉綾だ。
実に恐ろしきは『人の持つ煩悩』…
それは…どこまでも世界を広げて行き…その『煩悩』を抱えた人々を狂わせる。
そして、その『煩悩』の元凶となっているのは…
ルルーシュ=ランペルージ…その人である。
人の『煩悩』は108あると云われるが…
彼一人のお陰で更に人の『煩悩』が増えて云っているかもしれないと思ってしまうのは…間違いだろうか…
彼らの頭の中には自分の描き出した…そして、今回の参加者の描き出した『メイドルル』を、自分の都合のいいようにミックスして、その、『煩悩の世界』へと走らせる…
これは…『コードギアス反逆のルルーシュが』生み出した(ある意味)『リフレイン』よりも恐ろしい『麻薬』とも言えるだろう。
その『煩悩』が与える快楽に…人は酔いしれ…そして狂わせる…
そう…これは誰が悪い訳でもないのだ…
ルルーシュ=ランペルージがこの世に生を受けた時から…この地球上に与えられた『試練』であり、『快楽』なのだ…

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