Special short story

デバガメエンジェルズ

夢見る天使たち | お邪魔虫の多い彼等 | 人はルルーシュのどこに惹かれるか… | 恋の唄 |
二人がじれったいのは誰の所為? | 相思相愛 | 二人の思いを知る者達 | もしも… |
ルルーシュへの思い…〜クロヴィスの場合〜 | ルルーシュへの思い…〜ユーフェミアの場合〜 |
ルルーシュへの思い…〜シャーリーの場合〜 | ルルーシュへの思い…〜ロロの場合〜 |
覗き見の愉しさ | ★今日のお題★ |

夢見る天使たち

ここは…あの世の中でも…いろいろなエリアに分かれている中のある、一つのエリアのとある場所…
あの世と言っても生前日頃の行いがそれほど悪かった訳でもないが、目だった事をした訳でもない魂が次の『誕生』まで過ごす場所…
そして…ここではある意味新参者のとある4名の魂が下界の様子を窺える泉の周囲を占拠していた。
彼等の名前は…早くここに来た順でクロヴィス、ユーフェミア、シャーリー、ロロという。
彼等の共通点は…『ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア』をこよなく愛し、今でも彼の事が心配で堪らず、つい、覗き見…じゃなくて、様子を窺いたくなってしまうのだ。

『全く…ルルーシュってばじれったい!そんなにスザクの事が好きなら世界なんて放り出して愛に生きればいいんですわ!』
ユーフェミアがイライラしながら本音をこぼす。
『僕のルルーシュはそんな事が出来ない優しい子なのに…こうなると切ないね…』
浮世離れしたようなクロヴィスがこれまた浮世離れしたオーラを醸し出して話す。
『誰が貴方のルルですか!でも、ホントじれったいなぁ…どうせならスザクくんと『ピー』なシーンとか『ピー』してるところ…見たいですよねぇ』
明らかにユーフェミアに振っているがその言葉に続いたのは…
『シャーリーさん!貴女は兄さんの(一応)恋人になったんでしょう?それで本当にいいんですか?』
やや…声を荒げたロロがシャーリーを睨む。
それでも泉を覗き込んでいる彼等はどこ吹く風…
とにかく、和泉綾の暴走した『萌え♪』不足の為、スザルルの『萌え♪』に魂ごと奪われてしまっているのだ。
ロロは和泉綾の中に僅かに残った頼りない良心の呵責であるが、時々、彼も『萌え♪』暴走の一員になってしまう。

『あ…ルルーシュが貧血で倒れそうになって枢木が…』
クロヴィスの一言で全員ね意識が泉の映像に集中し…
で、彼等(和泉)が望むシーンに発展しないとああでもない、こうでもないと議論が始まる。
彼等の魂は確かに『ルルーシュ』にここへと送られてしまったのだが『ルルーシュ』が考えているような悲壮感はない。
というより、ルルーシュとスザクのじれったさにイライラしているのだ。
何もないと解る度に彼等から漏れる大きなため息がまるであの世全体に響くかのようである。

それでも彼等は(和泉の)『萌え♪』の為に和泉に映る映像を食い入るように見つめるのである。

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お邪魔虫の多い彼等

ここはあの世のとあるエリアのサロン…
クロヴィス、ユーフェミア、シャーリー、ロロは、そこでティータイムの一晩を楽しんでいた。(周囲の連中からどう思われていたかは謎だが当人達は満喫している)
今日もまた、『ルルーシュとスザク』のじれったさと、何ともお邪魔虫の多さが話題になっている。
今日も、泉を覗いていると…
二人の姿が映し出されて来る。
どうやら…神根島でルルーシュが父、シャルルと母、マリアンヌを消し去った後のようだ。

『あ、スザクが襲い掛かるマリアンヌ様の前に立ちはだかった時はちょっとだけ素敵でしたわ♪』
ユーフェミアが何かとても感動的なシーンでも見たかのようだ。
そこで、何かを不思議に思ったシャーリーとロロが質問する。
『あの…枢木卿が何故あそこまで兄さんの命を付け狙っていたか…解ってます?』
『ユーフェミア様ってスザクくんの恋人じゃないんですか?』
本編の泥沼を知っていれば誰でもそう思う。
その二人の疑問にクロヴィスもユーフェミアも一瞬きょとんとして顔を見合わせ笑い出した。
『嫌だなぁ…ユフィと枢木スザクが恋人なんて…』
クロヴィスが出てきた涙を擦り乍ら笑っている。
『私が誰より好きなのは…ルルーシュですもの…。神根島で一夜を過ごしたとき…襲ってくれれば私、迷わず『黒の騎士団』に行っていましたのに…』

この二人の様子に、元はと云えば、ユーフェミアを好きになったスザクがブチ切れて、ルルーシュの命を狙うようになったからややこしくなっていたのだ。
ユーフェミアの言葉にシャーリーもロロも呆然としている。
『じゃあ…キュウシュウ決戦での…あの告白は?』
シャーリーとロロが半ば恐る恐る尋ねる。
―――私を好きになりなさい!そのかわり私があなたを大好きになります!
あの台詞の事だ。
『あんな死にたがりにユフィの騎士が務まる訳がないだろう?確かに変わった奴だったし、ルルーシュが生きているともなれば、彼等が生きられる世界を創るには役に立ちそうだしな…それこそ、コキ使える…』
『私は昔から私の旦那様はルルーシュって決めていましたの…そこに紅月カレンや皇神楽耶やらがしゃしゃり出て来て…わが異母兄乍ら、無意識にフェロモンを撒き散らして…コマッタちゃんですね…』
やや苦笑するクロヴィス、ユーフェミアをシャーリーとロロが顔を引き攣らせて眺めている。
―――ルルがブリタニアの王宮に帰らなかったんじゃなくて…帰れなかったんじゃ…
―――兄さんの家族は…僕だけでいいよ…兄さん、こんな変態兄弟に囲まれて…よく、純潔を守ったね(ほろり)
流石、ブリタニアの皇族…
パンピーには解らない事がいっぱいである。

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人はルルーシュのどこに惹かれるか…

大層なタイトルが付いているが、単純にルルーシュのどこに、何に『萌え♪』てしまうかを語り合う座談会である。
男女問わず、何故、人はルルーシュに魅了されるのだろうか…

『やはり…あのギリシア彫刻のような肉体美…芸術に携わる者であれば一度は手に入れたいモデルだ…』
クロヴィスがうっとりしたように云うと、無情なシャーリーの言葉が続いた。
『あの…ルルをモデルに…って事なら私、ルルの絵を描いた事がありますよ?『クロヴィス殿下追悼芸術週間』で…』
シャーリーの一言にユーフェミアも話しに食いついて来る。
『ああ、あの時の応募作品の審査は私がやりましたね…そうですか…アッシュフォード学園ではルルーシュがモデルを…』
ユーフェミアが何とも羨ましそうに呟く。
そして、ルルーシュがモデルにされた翌年、モデルをやらされた揚句、身ぐるみ剥がされそうになったロロが顔を引き攣らせている。
『クロヴィス殿下があっさり殺されちゃうから僕も兄さんも…』
まだ、あの時の苦労と怨みは忘れていないらしい…

『確かにルルの肉体美も魅力的だけど、ルルのギャップも…あれは『ギャップ萌え♪』の王道ですよ!』
シャーリーが興奮気味に話し始める。
とにかく…常にルルーシュの事ばかり見ていた彼女は話しが尽きないらしい…
この話題に関しては全員が盛り上がってくる。
クロヴィスはいつも自分には不遜な顔をしていた子供時代のルルーシュ…シュナイゼルにチェスで負ける度に泣きそうになっているのを見て『いつか、自分も!』と頑張ってみたものの…結局勝てず仕舞いだった。
ユーフェミアはこれまた、いつも大人ぶっているのに、母、マリアンヌの前ではたじたじのルルーシュを思い出す。
ロロもルルーシュが『ゼロ』であった事を思い出し、『ロロぞうきん』などと云うものが誕生するような(黒)名台詞を残したかと思えば『キューピッドの日』にシャーリーに帽子を取られてしまう天然さを思い出してキッとシャーリーを睨む。

『結局…何が一番の『萌え♪』なのでしょうね…?ルルーシュの場合…』
ユーフェミアの一言に結局黙り込む。
ナチュラルにフェロモンを撒き散らしているルルーシュ…
それ故に和泉綾が始めてしまった『デバガメエンジェルズ』と『ルルーシュ争奪戦』の企画…
『結局…兄さんの存在そのものが『萌え♪』なんじゃないですか?』
『確かに…ずっとあのビチピチの恰好をして…スザクくん…周囲にばれないようにするの…大変そう…』(←深い意味を追求しちゃいけませんよ)
シャーリーの一言にユーフェミアもうんうんと頷いている。
ロロはそんな一言に『枢木スザク…兄さんに妙な事をしたら…末代まで祟ってやる!』と呟く。
そのロロの一言にクロヴィスがロロの肩をぽんぽんと軽く叩き乍らロロに呟く。
『その時には私も手伝うよ…私のルルーシュに触れるなど…』
ロロがクロヴィスを見た時本編では見た事のないクロヴィスのダークスマイルがそこにはあった…

END

追記…

『ハックシュ…』
ルルーシュの左後ろに控えていたナイトオブゼロ…枢木スザクが悪寒を感じ、豪快にくしゃみをした。
『ふっ…体力馬鹿のお前でも風邪を引くのか…』
『否、ただ…妙な悪寒が…』
スザクが答えるとルルーシュがやれやれといった表情で立ち上がる。
『温めてやろうか?』
ルルーシュが不敵に笑い、スザクに手を差し延べる。
スザクが何となく迷っているとルルーシュが更に言葉を続ける。
『今日は…お前の好きに…すればいい…』
顔を真っ赤にして消えてしまいそうな声でルルーシュがスザクにそう伝える。
スザクはその手をとり膝をついてその掌にそっと口づける。
『イエス、ユア・マジェスティ…』
そう答えてルルーシュを抱き上げて寝室へと歩いて行った…

その様子を見てしまったあの世のデバガメ達が…大騒ぎになったのは言うまでもない…

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恋の唄

じれったいルルーシュとスザクにイライラする4人…
特に女性2人はイライラ度も天井知らずで上がって行く。
理由は和泉綾と同じく『萌え♪』不足…
そう!
年頃の女子(おなご)には『萌え♪』は必要なのよぅ!(←何かをツッコミたいあなた…セシルさんのおにぎりを食す覚悟をしてきてね♪)
一番近くにいる『男』達がすっかりルルコンで彼女達にとってもはや『萌え♪』ではないのだ。
逆もまた然別…
とにかく、あの世に来てからの彼等はすっかりルルーシュウォッチャー…
まだ新参者のレッテルが剥がれていないと云うのに、ここを支配している『神』達にも、『先輩エンジェル』達にもすっかり有名になっていて…
その光景は』最近では『あの世発!珍風景』としても取り上げられ、あの、下界を覗ける泉は観光名所にもなっている。

そんな中、ルルーシュとスザクの間に、ある計画が出来上がっていた。
流石にその計画内容を知った時には全員顔が青ざめたが…
『スザク!貴方は私の騎士なのでしょう?ルルーシュを愛しているのでしょう?ならば、ユーフェミア=リ=ブリタニアの名の下に命じます!ルルーシュを殺してはなりません!貴方はルルーシュと一緒に幸福になるんです!』
と、半狂乱の状態で泣き叫んでいた。
この様子に彼女が心から『彼』を愛していたのだと…その場にいた者達は胸を打たれた。

しかし、事の真相…ルルーシュが世界の全ての『罪』と『憎しみ』を背負い、『永遠』という『罰』を受けると知った時…ユーフェミアだけでなく、その場にいた全員が脱力した。
そして…ユーフェミアが『あの世』の掟を破って…自らの騎士の元へと赴いた。
自分はルルーシュを恨んだ事はないと…幸福になって欲しいと伝える為に…
ユーフェミアの騎士は何より『ルール』を破る事を嫌っていたが…
『私はスザクの主…失格です…』
そう呟き乍ら、素直に『あの世』の違反者取り締まり官に連行された。
そして…人間の時間にして2ヶ月…謹慎処分となった。

処分を終えて…泉に赴くと…一緒に泉を見続けてきた、彼等が、待っていた。
『ユフィ…『コード』は止められなかった…ただ…枢木はルルーシュと運命を共にする選択をしたよ…今は…離れ離れだけど…』
クロヴィスが何となく言いにくそうに伝えた。
しかし、ユーフェミアはにこりと笑って答えた。
『二人が生きて『萌え♪』を提供して下されば私に不満はありません!』
そう言い切った彼女の顔は…強かったが…どこか…寂しそうだった…

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二人がじれったいのは誰の所為?

この泉を覗き乍ら4人は話し合っていた。
ルルーシュとスザクがじれったいのは誰の所為なのだろうかと…
確かに…2期に入ってルルーシュが皇帝になるまで二人は敵同士で…
しかも、ユーフェミア曰く、
『私を人殺しの大義名分にしないで欲しいです!私は…ルルーシュに笑っていて欲しいだけですのに…時々、『萌え♪』シーンは欲しいですけど…』
ユーフェミアの言葉にシャーリーが力いっぱい同意する。
『そうですよねぇ…スザクくん、私の話し…全然理解してなかったみたい…』
と憤慨している。
―――許せない事なんてない…許したくないだけ…。スザクくんが許したくないの…。私はもう…許したわ…
スザクがあの時のシャーリーの言葉をどう理解したかは知らないが二人して『幸福になっちゃいけない症候群』になってどうする…それがここに集まってきた面々の素直な気持ちだ。
多くの犠牲を払ったのならその魂達の為にも笑うべきだ…
辛くても、どう思われても彼等が笑っていられなければ…他の者達にとって、『押し付けられた自己満足』でしかない。

『あの二人がじれったいのは…服装の所為じゃないですか?』
ロロのそんな一言でその場のエンジェル達がはっと我に返った。
そう…今日はあの二人がじれったいのは誰の所為かという事を話していたのだ。
確かに二人がずっと一緒になってからの衣装…

ルルーシュの皇帝の衣装は
『どんな作りだ?みごろはどうなっている?』
と思わず尋ねていまう。
しかも、着るのも、脱ぐのもめんどくさそうだ。

そして、スザクに至っては、常にバイスーだ。
あの白いバイスーの時は割と、どう着ているか解ったし、着替えているシーンもあった。
以前のバイスーより目の保養になるデザインだが…脱げないのでは本末転倒だ。(否、脱ぎ着は出来るから!)

ロロの言葉に何となく納得出来てしまった面々…
流石に番組制作費の都合上、破り捨てながら脱がす訳にも行かないと云うことだ。
全員…やれやれと溜息をついて、紅茶を啜るのだった…

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相思相愛

相変わらず、あの4人はあの泉の周囲を陣取って下界を覗いている。
何とも面白い事に、現在だけでなく、過去も見られるらしい。
クロヴィスとユーフェミアは日本へ送られる前のルルーシュしか知らないし、スザクに至っては、クロヴィスにとっては完全に『どこの馬の骨だ!?』状態だ。
シャーリーはアッシュフォード学園の高等部に入学して、生徒会に所属するまで、目立つ存在感故にルルーシュを知っていたが、生徒会に入るまで口を聞く事もなかった。
スザクに関してはルルーシュが彼を『友達だ!』とみんなの前で宣言されるまで避けられていたし…
ロロの場合かなりひどい出会いで両方とも任務だ。

今、彼等が見ているのはルルーシュとスザクが枢木神社で暮らしていた頃の様子だ。
『あっ…私のルルーシュの美しい顔をグーで殴った…。枢木スザク…許さんぞ!』
怒り心頭のクロヴィス…
他のメンツも、『お願い!顔はやめて!』とか『あんなに力押しを嫌ってたくせに』など、様々なクレームが飛び交う。
泉の映像が進んで行く内に…彼等の中に友情が生まれ始めた事が解る。
ユーフェミアとシャーリーなどは涙ぐんでいる。
『こうして…二人は愛を育んで行ったのですね…』
『最初から…他の人間の入る隙間なんて…なかったんだわ…』

そんな彼女達の反応とは別に男性陣は面白くないらしい。
『枢木スザク…野蛮な奴め…私は『僕ルル』が好きだったんだ。あのつぶらな瞳で『僕…』なんて言われたら最高の『萌え♪』じゃないか…』
『そんなのは後で『調教し直せば』(←!)いいですけど…枢木スザク…あんなに兄さんに信用されて、助けられている癖にあの優しい兄さんを裏切ったんですね…』
ロロなどは…どんなに頑張っても捨てゴマとしてしか扱って貰えなかったというのに…
半ば八つ当たりというか、子供染みた嫉妬なのだが…

『でも、本編制作者の都合とは言えあんまりです!』
『本当に!『コードギアス』はルルとスザクくんのげろ甘ラブストーリーで良かったんですよ…世界を破滅に導いても『二人の明日の為』に愛を貫いて幸福になれば良かったんです!』(←否、それはどうだろう)
もはや男性陣の口を挟む隙間はない。
『シャーリーさん!』
『なんですか!ユーフェミア様!』
二人の気合いの入ったやりとりに男性陣はげっそりとしている。
『和泉綾の元へ行き、『ドキドキラブラブ萌え♪時々ちょつぴり過激!』なスザルルを書かないと祟ると脅しに行きましょう!』
『イエス、ユア・ハイネス!』
そう言い切ると二人は立ち上がって和泉綾の元へと向かって行った。
『あ…相変わらず行動が速いね…ユフィ…』
『クロヴィス殿下も大変ですね…』
ここにも心の通じ合った男達がいた…

END

その後…

『和泉綾!ユーフェミア=リ=ブリタニアの名の下に命じさせていただきます!『ドキドキラブラブ萌え♪時々ちょつぴり過激!』なスザルルを書きなさい!』
『さもないと私達が末代まで祟ってやるんだから!』
二人の必死な形相を見ながら和泉綾が答えた…
『なら…『萌え♪』をくれ!決定的に足りないんだよぉぉぉ(┳◇┳)早く帰って『萌え♪』の補充をしないと干からびそうなんだよぉぉぉ(ノ△T)』
そんな和泉を見た二人の評価は…
―――祟る価値もない…

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二人の思いを知る者達

ルルーシュもスザクも中々ラブシーンを見せてくれなくて、イライラの募るユーフェミアとシャーリー…
和泉綾同様…『萌え♪』不足で禁断症状(?)が出てきているらしい。
かと言って男同士なら何でもいいと云う訳ではない。(←否、男同士とか言っている時点で間違っているから!)
ユーフェミアもシャーリーもついでに和泉綾も『スザルル』を求めてやまないのだ。
本人達も惹かれ合い乍ら…敵同士になり、しかも、恋人が恋人を殺さねばならない運命…
最後の『殺さねば…』ってのは、ここにいるメンツも和泉綾も困る。
だから全力で止めるのだが…

それにしても…ルルーシュが皇帝になってからあまりにラブシーンが少ない!
1期では敵同士であり乍ら、年齢制限がかかってしまうような事もしていたと云うのに…
最近はキスシーンすらお目にかかれないのだ。
時間が経つに連れて…ユーフェミアとシャーリーのイライラ度は上がって行くばかりだ。
その度に八つ当たりされまくるクロヴィスやロロはいい迷惑だが…
そうでなくとも、和泉綾が『スザルル史上主義』だったばかりにクロヴィスもロロも中々ルルーシュに構う事が出来ないのだ。
おまけに今はあの世の住人だ。
ともすると、彼等も彼女等同様、『スザルル』に『萌え♪』を求めていた方が建設的だ(←否、間違ってるし!)
そこでクロヴィスはかルルーシュとスザクのラブシーンに『美』を求め、ロロは納得行かない分、スザクの『エロテク』をとことん追求する。
彼女等は相変わらず普通に黄色い声を上げまくっているのだが…

そして久しぶりに二人がいい雰囲気だ。
例の計画も大詰めに来ていて、流石のルルーシュもかなりの緊張状態で…
一人窓の外をじっと眺めていた。
そこに…既に死んだ事になっていたスザクの登場…
何かを必死に訴えている。
そこにいた全員がそのシーンを見て切なくなる。
ルルーシュを愛している者達が…血の涙を流さねばならぬ選択…
独りよがりな優しさと慈悲…
それが解るだけに…本当は彼等がルルーシュを止める為に抱きしめたかった。
それが叶わないなら…スザクに託すしかない。

やがて…ルルーシュの細い身体を折ってしまうんじゃないかと云う勢いでスザクが抱きしめていた。
ここのメンツ全員が内心スザクをうやらましい…じゃなくて、羨ましいと思い乍らじっと見ている。
ルルーシュ大好きなメンバー達…
思うところは様々だ。
しかし、久しぶりの『ちょい萌え♪』シーンを力いっぱい楽しんでいる姿がそこにはあった…

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もしも…

ここはあの世にある、下界の様子を見る事が出来る泉…
今日もクロヴィス、ユーフェミア、シャーリー、ロロがルルーシュとスザクのラブシーンを求めて…じゃなくて、二人が心配で泉を覗いている。>
相変わらず、本人達を見ていてもじれったいだけなのでついに、向こうの世界のルルーシュ&スザク愛好家達の手により作り上げられた『同人誌』を見ていた。
それこそ星の数程あるそれには、好みに合っているかどうかは別にして多くのジャンルがあり、その中にはユーフェミアとシャーリーの求める『萌え♪』な作品も数多く見られる。

『ま、シャーリー、見て下さい!このルルーシュ…私が食べちゃいたいです!』
『ユーフェミア様、こっちにはルルが女の子になっちゃっているものもありますよ!』
『ルルーシュが女の子………(ぶほっ)』←鼻血を吹いた
『クロヴィス殿下!しっかりして下さい!一体何を想像したんですか!』
あっちの世界の『同人誌』とやらの効果は絶大なようだ。
ユーフェミアとシャーリーは無我夢中だし、クロヴィスはいらない想像をして鼻血を吹いているし、ロロはそんなクロヴィスの介抱をしている。
そして、彼等の想像力は更に力を発揮させ始める。

『そういえば、スザクくんが男の子でルルを女の子にしちゃってる話しもありましたね…』
『ええ…私はやっばりルルーシュもスザクも男の子の方がいいですけど…』
何を考えているんだ…この『萌え♪』に取り憑かれてしまったお姫様は…
そんなユーフェミアの言葉に何故かクロヴィスが同意する。
『そうだよ…ルルーシュは今だってムダにフェロモンを撒き散らしていると云うのに…これで女の子になったりして更に野獣どもに襲われたりしたらどうするんだ!』
ずっと鼻血を吹いて倒れていたクロヴィスの介抱をしていたロロは『そんな事を考えて鼻血を吹いてやがったのか…このヘンタイ皇子は…(-_-#)』と考えてしまっていた。
しかし…ルルーシュが女の子…確かに危ない…

『でも、ルルが男の子でスザクくんが女の子って組み合わせ…あんまり見ないですね…』
シャーリーの言葉に皆がはっとする。
確かにそうだと…ロロ以外の3人がまた、考え込み始める。
ここのメンバーにストッパーがいない為、苦肉の策でロロがストッパーとして存在しているのだ…(ごめんよ…ロロ…このメンツが暴走すると和泉では止められないのよぅ)
暫くロロは静観しながら下界の『ロロルル』の『同人誌』を堪能する。(転んでもただでは起きないらしい)

かれこれ2時間が経過しようとした時、ついにロロが口を開く。
『枢木卿が女の子では紅月カレンと変わらないじゃないですか…考え方は違うけど、本質は頭が動くより先に手が出る体力単純バカ…兄さんの体力じゃ彼を女の子にしても意味ないじゃないですか…』
ロロの指摘に全員が納得する。
しかし、ユーフェミアは何となくルルーシュが男の子でスザクが女の子…というのが見てみたいらしい…

『シャーリーさん!』
『なんですか!ユーフェミア様!』
どっかで見た事あるシーンだというツッコミを入れてくれたあなたにはセシルさん特製スペシャルおにぎりをもれなく差し上げちゃいます♪(←いまではフレイヤより恐ろしい破壊兵器)
ユーフェミアが立ち上がりシャーリーも続く。
『和泉綾の元へ行き、『ルルーシュ(♂)でスザク(♀)』なスザルルを書かないと祟ると脅しに行きましょう!』
『イエス、ユア・ハイネス!』
再び二人が駆け出して行った…
残された二人は
『ルルーシュが枢木を抱くのか?』
『想像…できませんね…しかも枢木卿が女体…』
何ともルルーシュに対してのみ『美』を求めている傾向のあるらしい野郎どもには少女達の想像力にはついていけなかったらしい…

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ルルーシュへの思い…〜クロヴィスの場合〜

元々…私にとってルルーシュとは…性格も得意分野もある意味正反対で…
異母弟であるからには…ルルーシュの方が年下で…
でも、ルルーシュはシュナイゼル異母兄上からも一目置かれる利発さと、誰もが目を奪われてしまう美貌を幼いながら持ち合わせていた。
『羨ましいなんて思わない…』そう思う事で私は自身を納得させていた。
母は…『所詮、母親は下賎の者…貴方が気に止めるような相手ではありませんよ…かわいいクロヴィス…』

母がそんな風に『下賎の者』などと云う言葉を使わねばならない皇子であったのだ…ルルーシュは…
シュナイゼル異母兄上と一緒に訪れていたアリエスの離宮…
マリアンヌ様の傍にはルルーシュとナナリーがいて…
あの頃…私にとっての癒しはそこだった。
私は芸術を好んだ。
絵や音楽を愛した。
そして、宮廷を出入りしていた画家達の評価が高かった…

しかし、ブリタニア帝国の皇子としては不要な才能…
必要なのは…ブリタニアの役に立つ能力…
シュナイゼル異母兄上のような政治力…
コーネリア異母姉上のような戦う能力…
私にはそれらの能力がなかった。
ルルーシュは…シュナイゼル異母兄上にチェスの能力を認められる程の実力があった。
まだ、10歳にも満たない子供が…神聖ブリタニア帝国の第二皇子にして、宰相であるシュナイゼル異母兄上に実力を認められていたのだ。

私はルルーシュを愛していたが…嫉妬も感じていた。
だから…マリアンヌ様が何者かに殺害され、ルルーシュとナナリーが日本へ送られると知った時…確かに衝撃を覚えた。
しかし、心のどこかで…彼がいなくなる事にほっとしていた自分もいた…

愛している筈なのに…でも、彼の存在は…いつも私にとってはプレッシャーで…
一緒にいて、幸福だったけど…辛かった。
その後…ルルーシュとナナリーが日本とブリタニアの戦争のさなかに天に召された事を知った。
涙が止まらなかった。
そして…日本人…否、イレヴンが許せなかったし、母国にも憤りを感じた。
何故?戦争にしない為の人質ではなかったのか…と…

タイセツナモノヲマモルチカラハワタシニハナイ…

そう、思い知らされた。
エリア11の総督になったものの…ルルーシュの仇を討つ事も出来なくて…
やがて…ルルーシュが私の目の前に現れた。
その瞳は私の知る透き通ったアメジストではなくて…
私はマリアンヌ様の所に逝くと直感的に思った。
その直感は当たっていた…
でも…最期に…ルルーシュ…君に…会えて私は…幸福だったよ…

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ルルーシュへの思い…〜ユーフェミアの場合〜

ルルーシュ…私にとって…王子様です。
ルルーシュがアリエスの離宮にいた頃…その憧れの王子様に会いたくて…
王子様の妹姫様と仲良しになれた事は…本当に幸運だったと思います。

私の王子様のお母様の身分が低くて…損とか得とかでしかものを見る事の出来ない他の多くの異母兄弟達のお陰で…
私は王子様の笑顔を独占していましたの…
ルルーシュが母君と妹姫以外にあんな笑顔を向けて下さるのは私だけでした…
母君の身分が何だと云うのでしょう…
あんな素敵な笑顔を見る事が出来ないだなんて…バカな方が多くて私は得しちゃいました。

でも…その私の優越感と幸福感は…ある日突然崩れ去りました。
マリアンヌ様が亡くなられて…私の王子様は遠い国へ行く事になってしまいました…
そして…亡くなったとの報…
王子様は私の心を持っていってしまいました…

その7年後…奇跡の再会を果たしました…
嬉しかった…
涙が出る程嬉しかった…
しかし…貴方は黒衣のレジスタンスとして…私は貴方の敵…となっていました…
私は貴方の心を取り戻そうと必死でした…
だから…皇族の名になど何の未練も持ちませんでした…
貴方のあの笑顔を取り戻せるなら…皇位継承権など邪魔なだけ…
『君の勝ちだ…』
その言葉…私にとって…何よりの名誉です!
こちらに来て…私は自慢しています…
『あのルルーシュに負けを宣言させたのです!』と…

でも…私がこちらにいると云う事は…それが…失敗したと云う事…
ごめんなさい…ルルーシュ…
私が貴方を不幸にしてしまったの…
バチが当たっただけなんです…
貴方を独り占めしたくて…ただ…それだけで…
ルルーシュ…貴方はしっかり責務を果たしてる…
私の所為に不幸になってしまった…貴方の騎士と笑い合って良いのです!
貴方はもう…私の手の届かない存在…
でも、もう一度…王子様の笑顔を見たい…それは…私の我が儘なのでしょうか…?

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ルルーシュへの思い…〜シャーリーの場合〜

ルル…
こっちで色々なルルを見てきたけど…
ホンットォォォに!
なんてバカ!
スザク君もだけど!

なんで永遠なんて…
ナナちゃんをあんな風に泣かせるなんて…
自分の目を疑っちゃったよ…
でも…
それ以上に…ルル…貴方は泣いてたね…
スザク君の前でさえ…いつも…耐えていたね…

自分の決めた事に対してホントにストイックだったね…
ロロを失って、ナナちゃんが、ルルの敵になっちゃって…
それでも…ルルは…

なんであの時…私はルルの傍にいなかったの?
もしかしたら…何かが変わっていたかも知れないのに…
そんな事を考えていたら…ロロが…自分を責めるような顔をしている…
でも、あんな風にルルを想っていてくれた…
だから…一瞬…私を殺したロロに恨みを抱いちゃったけど…
でも…ロロだけは…ルルを心の底から慕って、全力でルルを守ってくれた…
だから…私はロロに心の底から、感謝してる…

でも…ルルは…自分を世界への生け贄になる事を選んだ…
スザク君と共に…
カレンは…あんなにルルに助けられていて…ルルの事を何も解っていなかった…
それなのに…ルルの一番をずっと…独占してたくせに…
私はカレンが妬ましいよ…

私…カレンを許せる日が…来るのかな…
嫉妬…なのは解ってる…
ねぇ…ルル…
こんな私を軽蔑するかな?

ロロ…
今ならロロの不安…解るよ…
私もロロと同じだった…

ねぇ…ルル…
永遠に死なないなら…いつか…自分を許してね…
スザク君の事も…
そして…いつか…貴方の笑顔を見せてね…
そしたら…ルルの夢枕に…皆で会いに行ってあげるから…
その時…私たちの笑顔を見たら…もっと笑ってくれるのかな…

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ルルーシュへの思い…〜ロロの場合〜

兄さん…
僕にとっての初めての…家族…
僕は…物心がついた時には、一人ぼっちで…ヒトをコロス事でしか…必要とされない…ソンザイだった…

だから…兄さんの監視役を命令された時も…
『云われた通り…彼の記憶が戻ったら…コロセばいい』
そう思っていた。

これまで、長期間…ダレかと共にいて、共にいるダレかをコロスなんてした事がなかった…
というより、特定のダレかと長い時間、一緒にいるなんて事…一度もなかった。

記憶がない兄さんは…これまで僕の知ってきたどのヒトとも…違っていた。
戸惑う事ばかりだった。
でも…その戸惑いがやがて…失いたくない…ものになっていた…
『これは僕だけの…僕だけのものだ…』
初めての執着と、独占欲…
どうしたら繋ぎ留めておく事が出来るか解らなくて…
兄さんの大切なものを奪っていた…

だから…兄さんは僕に当然の事をしただけ…
僕だって…兄さんを盗られたくなくて…
殺した…

ごめんなさい…兄さん…
僕は…
僕は…
ただ…兄さんが僕の傍で笑っていて欲しかっただけなのに…
でも…間違っちゃった…
ヒトゴロシしかして来なかった僕は…『アイシカタ』を知らなかった…
もし…生まれ変わって…今のままの兄さんに会えたなら…
きっと僕は…もう少し…兄さんの喜ぶ事を…出来るかな…

今度こそ…兄さんの心の底からの笑顔を見せて…
僕に罪悪感を感じる事なんてないんだ…
僕は兄さんを守れて幸せだから…
だから…贖罪じゃなくて…お礼という意味で…笑顔を見せて…

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覗き見の愉しさ

またも、下界を覗ける泉に、あのメンツが揃っている。
今となっては、『覗き魔』と云われても文句は云えないし、もはや否定する気もない。
彼らの中には
『一度病み付きになると止められないし、綺麗事を云っている連中だって絶対、やってみれば病み付きになる!』
と断言して憚らない。

彼らは今日も自分の愛するルルーシュの姿を愛でている。
いつ見ても、どんな姿を見ても、麗しく目に映る…
しかも…下界では決して見る事の出来なかった姿も見放題…
時々、手に届かぬ相手に、イライラしたり、嫉妬したりとなかなか大変である。

彼らはいずれ、新たな魂となって…生まれ変わる事となるのだが…
今のままでは、色んな意味でバカップルな『ゼロ』の前に何もかも忘れて出て行くなんて出来なかった。(←既に二人の所へ行くと云うのが大前提)

焦れったいバカップルを見ていて楽しいと思える時期はとうに過ぎているのだが…
それでも、覗き見は楽しいのだ。
趣味としては褒められるものではない。
まぁ、行儀が悪いから白ご飯に醤油をかけて食べてはいけません…と云われている程度の感覚なのだ。

今日も彼らは楽しそうに集まってきた。
最近では、ピクニック気分でお弁当持参だ。

『これでルルーシュのお弁当だったらなおいいのに…』
誰が云ったかはしらないが…云っている事に微妙な矛盾がある事を気付かせるべきか、否か…
議論は必要だろうか?

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★今日のお題★

現在、下界を覗ける泉で下界のルルーシュとスザクの『萌え♪』を求めて覗き込んでいるのは…
ユーフェミアとシャーリーだけだ。
クロヴィスとロロは神様に頼まれ事をされたらしい…

さて、乙女な『萌え♪』を求めていた二人の目に飛び込んで来たのは…
番外編的に話しを作り替えられ…ユーフェミアの父であり、神聖ブリタニア帝国第98代皇帝シャルルパパの創った世界で、遊ばれている。
何だか知らないが…スザクが我が儘坊ちゃんでルルーシュが有能執事…と云う設定らしい…

『まぁ…お父様…たまには人の役に立つ事をなさっておいでではありませんか…』
『たまには…まぁ…確かにたまには…ですね…』
『萌え♪』オーラ全開で喜びを表現している少女が二人…
確かに…我が儘坊ちゃんにルルーシュのような綺麗な有能執事…
きっと…巷の『執事喫茶』では喉から手が出る程欲しい人材だろう…

と云うより…はっきり云ってスザクが妬ましい…
可能ならこのまま呪い殺して自分がそのポジションにつきたいと思うのは…女性として生まれ、腐女子カテゴリーに入った者として決して間違っていない!
断言出来る!
神様は許してくれないかも知れないが、自分が許す!

『何でスザクばっかりが美味しい思いをするんでしょう…』
さっき、心底喜んでいた事は完全スルー…
『萌え♪』オーラより、『嫉妬!』オーラが全開となる。

ルルーシュの甘いフェロモンヴォイスで起床…
着替えはルルーシュが手取り足取りお手伝い…
一日の内の何回かのお茶には、ルルーシュのいれた極上の紅茶に、ルルーシュ手作りの極上のお菓子…
お風呂ではルルーシュに背中を流して貰い(と云うより和泉綾の趣味で)ルルーシュが入浴の手伝いをしながら一緒にお風呂…
風呂上がりにはルルーシュに髪を(丁寧に)乾かして貰い、眠ってしまう迄、ルルーシュはベッドサイドで手を握っているのだ…

確かに『萌え♪』もあるが…『嫉妬!』の炎が勢いよく燃え上がる。
泉を覗いていたユーフェミアとシャーリーの心は…今、一つだった…
『『くたばれ!枢木スザク!そして、シャルルパパ!』』

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