※本編設定完全無視のお遊び話です。
本編では絶対にあり得ない…むしろ、Sound Episodeに近いんじゃないかと思われる設定です。
読んでいくうちに、あり得なキャラたちがあり得ない事をし始めます。
その辺を踏まえてお読みください。
今シーズン最大の寒波が来ていると、テレビでは云っていた。
確かに、朝起きるにはめちゃめちゃ寒い事に気づいた。
そして、枕もとを見ると…恐らく彼にとっては初めての経験である、枕元にプレゼントが置かれていた。
昨夜は生徒会主催のクリスマスパーティーですっかり遅くなり、スザクは、ルルーシュ達が暮らしているクラブハウスのゲストルームを借りたのだった。
何せ、遅くなったという時間が半端ではなかったからだ。
昨夜と云うより…むしろ、今朝方…
確かにスザクがこのゲストルームに来た時にはベッドの枕元には何も置かれてはいなかった。
とすると…スザクが眠っている間に誰かがこの部屋に侵入した事になるのだ。
スザクは、昔から武道を習い、現役の軍人で…寝ている時とは云え、自分のすぐそばに来た人間に気づかないなんて事は絶対にあり得ないし、軍人としては致命的だ。
たとえ、相手に殺気がなかったとしても、まったく気配に気づかないなんて事がある筈もなく…
「一体…誰だ…」
スザクはそのプレゼントを恐る恐る手に取ってみる。
中身は軽いし、スザクを爆死させるとか、そう云ったたぐいのものは入っていないと見える。
リボンが結ばれているところに、メッセージカードが添えられていた。
中を見てみると…
『Merry Christmas!
本物の君へのプレゼントを受け取りたければ…
この箱の中身を見るがよい!
見つけられないと…大きな罰ゲームですからね!
では、健闘を祈る!
あなたの素敵なサンタより』
と書かれている。
そして、しぶしぶ箱を開けてみると…ルルーシュがいつも持っているチェスのキングとルルーシュが(多分ミレイに捕まって)拘束されている写真が入っていた。
写真の日付は…今日の午前8時になっている。
パーティーの解散後4時間ほどしか経っていない。
「ル…ルルーシュ…!?」
スザクは自分の携帯電話の時計を見た。
今は…午前10時15分…
恐らく、ミレイ会長の仕業だと云う事は解るのだが…それにしても、あのパーティーのどんちゃん騒ぎの後で、ルルーシュが拉致されたとなると…恐らく、ルルーシュがスザクを客間に案内してその直後あたりだろう。
で、仮眠程度に睡眠を取らせて、その起きぬけに恐らくこの写真を撮ったのだろうと推察される。
―――うわっ…機嫌悪そぉ…
とりあえず、スザクはクラブハウス内の人物を探す。
と云っても、ナナリーと二人の世話係をしている咲世子しかいないのだが…
写真の背景を見ても、とりあえず、アッシュフォード学園…しかも高等部の敷地内と断定できるだろう。
「あ、おはようございます…スザク様…」
咲世子がスザクを見つけて、あいさつしている。
この咲世子がルルーシュが拉致されていると云うのにこの落ち着きようを見ると、まぁ、ルルーシュが嫌がる事をするかも知れないが、特に危害の加えられる事はないと考える。
「おはようございます…咲世子さん…。あの…ルルーシュとナナリーは?」
咲世子は相変わらずにこにこしてスザクに答える。
「はい…昨夜は遅くまでパーティーを楽しまれていたようですので…。でもそろそろ、起こしに行こうかと…」
何となく白々しくも聞こえる咲世子の言葉にスザクは、精いっぱいの笑顔で返す。
そして、今朝、スザクの枕元に置かれていたプレゼントとメッセージカードを咲世子に見せる。
少なくとも、最高レベルのセキュリティシステムが働いていると云うのに、いかにも怪しいサンタクロースが入ってくるなど、普通に考えると、思いっきり怪しい。
「多分、ルルーシュは部屋にいませんよ?だって、僕が起きた時に、僕の枕元にこんな怪文書が置いてありましたから…」
そう云って、枕元に置かれていたメッセージカードと写真とチェスのキングを見せた。
「まぁ…ルルーシュ様!おいたわしや…」
よよよと泣いて見せている咲世子を見て、『演技…下手なんだな…』と云う、あっさりとした感想がスザクの頭の中に浮かんでくる。
「で、ナナリーは無事なんですよね?とりあえず、起こしてきてくれますか?心配するとは思うんですけれど…一応ナナリーにも知らせないと…」
スザクは落ち着き払って咲世子にそう指示した。
写真の背景は…多分…と云うか、どう見ても生徒会室だ。
確かに、拉致するにしても、時間的に見て、クラブハウスの近く、もしくはクラブハウス内と考えた方が自然だ。
「おはようございます…スザクさん…」
ナナリーが咲世子に起こされて出てきた。
ルルーシュがいなくなった事を説明すると…
「まぁ…お兄様が?」
咲世子よりはマシだが、やはり、これはナナリーも絡んでいるとスザクが判断する。
とりあえず、彼女たちが黒幕の一因だとするなら、確かに、ルルーシュに危害が加わる事はないだろう…その時にスザクはそう思っていた。
しかし…エントランスに出ていくと、わらわらと、スザクと同じものを持っている者たちがいたのだ。
とりあえず、目に映るだけで、シュナイゼル、ジノ、ロロ、ロイド…それに、シャルル皇帝までいた。
つまり…これは、ミレイが企画した、『ルルーシュ争奪戦』と云う事らしい。
確かに…それなら、何となく納得もできる。
こう云ったお祭りごと大好きなミレイの事…
しかし…
―――皇帝陛下まで呼ぶとは…
「ルルーシュは昔から、私のものであると決まっている…。そこにいる下々の者たち…さっさと諦めて帰りたまえ…」
「お言葉ですが…シュナイゼル殿下…。ここでは身分の違いはなしとして頂かなくては…。でなければ、わざわざミレイが(ただ自分が楽しむためだけに)皇帝陛下までお呼びになるとは思えませんので…」
「ぐわはっはっはっは…My Sweet Sanはわしのものだ…。誰にも渡さん!」
「兄さん…待っていてね…僕が必ず助け出して見せるから!」
「シュナイゼル殿下…僕がルルーシュ様をゲットできたら、開発費の倍増…お願いしますねぇ…」
それぞれがそれぞれに勝手な事をほざいている。
この光景に…スザクとしては、かなり苦戦をするであろうと予想は出来るが…ここで、こいつらにルルーシュをゲットされてしまったらとんでもない事になる…
少なくとも、スザクにとっては…
エントランスにこの、ミレイの企画に集まってきた男どもの姿を見て、ミレイが満足そうに笑顔を作っている。
『さぁ、みんな!『ルルーシュ』の『どっきり♪お色気トナカイちゃん』(←!)は欲しいかぁ!』
ミレイのその一声で、一瞬その場が静まり返り、その場の人間全てが妄想モードに入っていく。
そして、30秒ほどすると一斉に
「「「「「「「おおおう!!!」」」」」」」
と云う声がこだましている。
―――『どっきり♪お色気トナカイちゃん』?何だそれは…
スザクも一応考えてみるが…少なくとも、ここにいるメンバーにゲットされたら、きっとろくな事がない事は簡単に想像がつく。
『では、生徒会室にいる、『どっきり♪お色気トナカイちゃん』な『ルルーシュ』目指して、全員、全力で戦い、そして、その勝者がその商品を手にする資格があるのです!では、よーい…』
『パン!』
ピストルの音と共にエントランスの男どもが手当たり次第に自分の周囲の男どもを蹴倒していく。
恐らく、生徒会室にたどり着けるのはたった一人だろう…。
当然、スザクに襲い掛かって来る命知らずもいるのだが…そう云った輩には一発かまして気絶させていく。
そして、周囲を見ると、シュナイゼルは小声で一言、彼らの耳元で何やら呟くと、その者たちが、すぐに
「は…はい!申し訳ありません!シュナイゼル殿下!」
とその場で白旗を上げて、シュナイゼルに土下座している。
で、ジノは、来る奴来る奴、片っ端からぶん投げている。
ロロは、そのおこちゃまフェイスと黒い素顔を使い分けながら襲い掛かって来る連中をねじ伏せて…。
で、ロイドは隅っこの方で眺めながら、
「あ〜あ…大変そうだねぇ…」
と完全な高見の見物だが、何か、策はあるらしい…
そして、ポケットの中から、何かボール状の何かをその騒ぎの真ん中に投げ込んだ。
すると…地面に着くと同時に弾けて、催眠ガスがまき散らされている。
それに気づいたスザクとジノとロロがさっと回避していた。
あいにく、シュナイゼルとシャルル皇帝はそのガスを吸い込んでしまったらしく、その場で眠り込んでしまった。
「ロイドさん…これ…後どうするんですか?下手すると、皇室に対する…」
「まぁ…何とかなるんじゃないのぉ?シュナイゼル殿下の場合、ルルーシュ殿下を連れてくればいいわけだし、いっそ、皇帝ちゃんにも話持ちかけて、開発費いっぱいだしてくれる方に引き渡そうかなぁ…」
ロイドのその言葉に、そこに残されたスザク、ジノ、ロロが呆然としている。
―――恐るべし!ランスロットが恋人のマッドサイエンティスト…
スザクはその時、何かを思いついたらしく、ロイドの方へ歩いていき、悪魔の頬笑みを浮かべながら、ロイドの耳元で何かをささやいた。
すると、ロイドは一気に顔色が真っ青になって、スザクに縋りついて泣いている。
「わ…わかった!スザク君の邪魔はしないから…それだけは…」
そのロイドの様子を見たスザクはまだまだ悪魔の頬笑みを崩さずにもう一度、ロイドの耳元でもう一度何かをささやいた。
すると、ロイドは必死な形相でジノとロロの前に走って行き、何やらスプレー缶を出して彼らに吹きかけた。
「なっ…」
二人はその様子に驚いたようだが、声を出す間もなく、その場に崩れ落ちて眠り始めた。
その様子を見届けて、スザクは、相変わらずの悪魔の笑顔をロイドに向けた。
「ありがとうございます。ロイドさん…。持つべきは、部下に優しい上司ですね…」
そう云いながら、クラブハウスの正面玄関へと入っていく。
すると、生徒会室の入口の前にはカレンが立ちはだかっていた。
「やっぱり、あんたが来たわね…スザク…」
「出来れば、女の子に本気は出したくないけれど…ルルーシュの身柄には変えられない!」
スザクがそう云い切った時に彼らのバトルの火ぶたが切って落とされた。
カレンの動きにスザクは、流石だと思う。
しかし、ここで負けたら、ルルーシュが…
そう思って、彼女の隙を見つけて…彼女の手首を握って背後を取った。
「チェックメイト…」
ルルーシュが何かに決着をつける時の出す言葉だ。
「っく…あんた…どんどんルルーシュに感化されてるわね…。まぁ、いいけど…。生徒会室の中に凄いカッコさせられてルルーシュがいるから…」
カレンのその一言を聞いて、スザクはカレンから手を放して、生徒会室へと入って行った。
すると…
「ル…ルルーシュ…」
ルルーシュはどこかのキャンペーンガールが着ているようなトナカイのコスプレをさせられて椅子に縛りつけられていた。
「スザク!」
顔を真っ赤にしてルルーシュはスザクから顔を背ける。
「おめでとう!やっぱりスザク君が来てくれたわね…。はい、賞品の『どっきり♪お色気トナカイちゃん』の『ルルーシュ』はスザクくんにご進呈!」
ミレイの言葉にルルーシュはキッと睨んで怒鳴りつける。
「人をもの扱いしないで下さいよ!」
ルルーシュがそう云うと、ミレイがあっけらかんとした表情でルルーシュに返す。
「何云っちゃってるのよ…R2本編で中華連邦でチェスの賞品をスザクくんにしようとしたくせに…」
「ここに来て、一体何の話ですか!咲世子さんやナナリーまでそそのかして…」
「あ〜はいはい…後の収集、スザクくん、よろしくねぇ…」
そう云いながら、ミレイがひらひらと手を振りながら生徒会室から出て行った。
その姿を見送って、スザクは再びまじまじとルルーシュを見る。
動物コスプレらしいが…ツーピースで腹の部分が出ていて…
しかも、ルルーシュの細くて綺麗な足が延びていて…
「スザク!さっさとこの縄をほどけ!」
ルルーシュがすごい剣幕でスザクに怒鳴りつける。
「あ…うん…。でも、すっごくかわいいね…。僕が勝ってここに来てよかったよ…。皇帝陛下やシュナイゼル殿下にまであの招待状を出していたみたいだったからね…会長さん…」
そう云いながら、ルルーシュを拘束している縄をほどいている。
ルルーシュは顔を真っ赤にして顔を背けている。
「まったく…あの会長は…」
そう云いながら、立ち上がって、着替えを探そうとする。
「え?もう着替えちゃうの?」
スザクが残念そうに尋ねてくる。
「あのなぁ…こんなカッコして人に見られたら…売れないお笑い芸人だぞ…」
そう云いながら、着替えを探しているのだが…見つからない。
そんなルルーシュを見ていて…スザクがルルーシュの手を止める。
「まぁ、いいじゃない…。とりあえず、ここから君の部屋に行く?上着は貸すから…」
そう云って、スザクがルルーシュに着ていた上着をかけた。
外からの音の感じからすると、このままルルーシュの部屋に連れて行けば、見つからずに済みそうだ。
「そうだな…会長が俺の着替えをどこに持って行ったか解らないからな…部屋へ行って着替えるか…」
ルルーシュがそう云うと、スザクと一緒に生徒会室から出て、ルルーシュの部屋へと向かって行った。
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