コードギアス版 雪の女王

※CAST:
ゲルダ:スザク
カイ:ルルーシュ
悪魔:C.C.
山賊のみなさん:セシルさんと特派のみなさん
山賊の娘:ロイドさん
雪の女王:(『ゼロに仕えよ』ギアスにかかった)シュナイゼル

※設定:
原作では、ゲルダと雪の女王と山賊の娘は女性ですが、作者の都合上、性別を無視しています。
性別はコードギアス本編と一緒で考えて下さい。
あと、混乱するので、コードギアスの名前を使わせて頂きます。
CASTは役どころと云う事で考えて下さい。

※作・演出:
和泉綾(←!)

 昔々、C.C.がいたずら心で鏡を作りました。
真っ直ぐなものは曲がって、美しい者は醜く見えると云う、ひねくれた鏡です。
「我ながら…これはいい出来だ…」
C.C.が満足そうに出来上がった鏡を見つめています。
その鏡を見つめている内に、普段から仲の悪い、どうにもいけ好かない天使をちょっとばかりからかってやろうと考えました。
そして、C.C.はその天使のいる天上界に上っていくのですが…途中、手を滑らせて鏡を落としてしまいました。
その鏡は地上にぶつかると、砕けて散らばってしまいました。
「ちっ…また作り直しか…」
C.C.は天子をからかいに行く予定でしたが、せっかくの鏡がなくなってしまって、自分のねぐらに帰る事にしました。
しかし…このとき地上では…大変な事が起きていたのです。

 その、C.C.が割ってしまった鏡の犠牲者が…ここに一人…
ある、村にスザクとルルーシュと云う、大変仲の良い幼馴染の男の子たちがいました。
天気も良く、今日は屋根の上で二人は双六をしていました。
ルルーシュは本当は、チェスをしたいと云っていたのですが、スザクはチェスが出来ないので、仕方なく、二人で双六をやっていました。
それでも、仕方なく…と云いながらもスザクと一緒に遊んでいて楽しそうなルルーシュでした…
が…ちょっと上の方を見た時に…何か光る物が落ちてきました。
その、光る物がルルーシュの目の中に入ってしまいました。
「っつ…」
ルルーシュは何かが入ってしまった左目をおさえています。
「ル…ルルーシュ!」
ルルーシュの真正面にいたスザクが慌てて立ち上がり、ルルーシュの傍に近づいていきます。
そして、ルルーシュの方を抱えながら顔を上げさせようとしたのですが…
「ス…ザク…俺に…近づくな…。あ…俺…俺は…」
なんだかルルーシュの様子が変です。
苦しそうにしていて…なんだか、ルルーシュの様子もおかしくなって行っているようです。
暫くして、ルルーシュの様子が落ち着いたようで、苦しんでいる様子がなくなりました。
スザクはほっとして、ルルーシュを見ます。
ところが、ルルーシュはいきなりスザクを突き飛ばします。
そして、スザクを鋭い目で睨んでいます。
「ふははははは…私は『ゼロ』…。世界を壊し…世界を創る男だ!」
ルルーシュがいきなり立ち上がって、驚いているスザクの前でいきなりの宣言です。
スザクは呆然としてルルーシュを見つめています。
「ル…ルルーシュ…」
「ルルーシュ=ヴィ=ブリタニアが命ずる!世界は…我に従え!」
そう叫びながら、ルルーシュは走り去っていきます。
スザクは、呆然としています。
「ルルーシュ…云ってる事…解んないよ…」
半分涙目になりながら、走り去っていくルルーシュを見つめながら、スザクが呟きます。
しかし、ルルーシュがいきなり変わってしまったのです。
きっと、空から落ちてきた光る物の所為だ…スザクはそう判断します。
「このまま…ルルーシュを手放してなるものか!」
そう云いながら、スザクは立ち上がり、ルルーシュの走りさって行った方向を見つめます。

 そして、ルルーシュはと云うと…
途中、アヴァロンに乗ったシュナイゼルと出会います。
「おお…わが愛するルルーシュ…待っていたよ…」
両手を広げて、ルルーシュを出迎えています。
「異母兄上…なんですか…その、側近たちが仰け反りそうなキャラの変化は…」
ルルーシュが呆れながらシュナイゼルに云います。
しかし、シュナイゼルは愛するルルーシュが自ら自分のところへ来てくれたと云う喜びでいっぱいのようで、ぎゅっと抱きしめています。
「異母兄上…俺が『ゼロ』だと云う事はご存知なのでしょう?」
ルルーシュがそう云うと、シュナイゼルの態度が急変します。
「はっ…失礼しました…『ゼロ』様…」
シュナイゼルが畏まって、跪きます。
「否…そこまでしろとは言いませんけれど…後で、異母兄上の側近に『シュナイゼル殿下のキャラを壊さないで下さい!』と怒られるのは俺なんですから…。そのへんだけ注意してください…」
ルルーシュがシュナイゼルにそう頼むと…
どうやら、ルルーシュ自身が『ゼロ』キャラにならないとシュナイゼルは普通にルルーシュを異母弟と認識するらしく、にっこり笑った。
「解ったよ…ルルーシュ…」
いつもの穏やかな笑顔を絶やさないシュナイゼルに戻った。
しかし、このシュナイゼル…実は『雪の女王』という称号を持ち、北の国をその力で統治している、実は偉い人なのです。
けれど、ルルーシュを目の前にすると、いつの間にやらただのルルーシュコンプレックスなお兄ちゃんになってしまうのです。
側近たちの心中は複雑です。
ルルーシュが一言シュナイゼルを叱責する事で、シュナイゼルは人が変わったように国の統治をしてくれるのですが、ルルーシュ不足になると、ルルーシュの事ばかり考えてしまうのです。

 その頃…スザクは自分の前方立ち去ったルルーシュを探して旅に出ました。
とにかく、あのキャラの変わり方は尋常ではありません。
いきなり『ゼロ』キャラになって、悪役の様な高笑い…そして、『世界を壊し、世界を創る』だなんて…
「どっかの悪逆皇帝じゃないんだからさ…」
とぶつくさ言っています。
近所中探しまわったのですが、どうしても見つかりません。
ルルーシュの体力では、そう遠くまで走っていける筈はないのですが…
そんなとき…スザクは複数の人々に囲まれてしまいます。
「枢木スザク一等兵…私と一緒に来て頂けませんか?」
凄い目でスザクを睨んで、取り囲んでいます。
この程度の相手ならスザク一人で充分片づけられます。
しかし、この台詞を言ったのは…
「セシルさん…一体何の真似ですか?これは…」
「枢木一等兵…ランスロットを動かせるのはあなただけなんです!すぐにロイドさんの暴走を鎮めてください…(泣)」
スザクを取り囲んでいる人々も滝のような涙を流して、号泣しています。
「ロイドさん…今度は何を始めたんですか?」
スザクがやや呆れたような表情を見せて尋ねます。
「どうやら、フロートユニットが完成したらしいんですけれど…デヴァイサーがいないと…」
スザクがその言葉で何かを思いついたようです。
「解りました…セシルさん…。ロイドさんのところへ行きましょう…。ただし、条件があります…」
スザクが真剣な顔をしてセシルにいます。
「条件?」
「はい!僕は…ルルーシュを迎えに行かなくちゃいけないんだ…。何かの原因でルルーシュが変わっちゃって…だから…僕が…。空飛べるランスロットなら、ルルーシュを助けに行けますよね?」
半ば、セシルを脅すかのようにスザクが笑います。
セシルは…そんなスザクに少々驚いて…
「ま…まぁ…脅すんなら…ロイドさんを脅してね…」
そう云いながら笑います。
そうして、スザクはロイドの元へ行き、デヴァイサーとしての役目を果たします。
「ロイドさん、ルルーシュはどこに行ったんですか?あのルルーシュがそう遠くへ行ける筈がないのに…僕が探しても見つからないんです!ルルーシュの体力では、僕のうちから半径2km程度しか行けない筈…。とすると…誰かにさらわれた可能性が高い…」
スザクの熱弁にロイドも少々驚きながら、コンピュータ画面を操作していると、どうやら、何やら情報があったようです。
「あ…あった…。どうやら北の国のシュナイゼル殿下のところに行っているみたいだね…。え?結婚?シュナイゼル殿下のルルーシュ殿下に対する…」
ロイドがそこまで云いかけると、スザクはロイドからランスロットのキーを取りあげて
「邪魔しないで下さいね?邪魔したら…このランスロット、無事じゃすみませんから…」
本当に悪魔の様な笑顔をロイドに見せたかと思うと、やっとデータを取ったばかりのランスロットをフロートユニット付きでかっさらって行ってしまいました。
「あ、スザクくん!データは後で僕に頂戴ね!あと、壊すなら…直せる程度にしておいてねぇぇぇぇ!」
ロイドの必死の叫びが…スザクに届いているかどうかは…謎であるが…

 スザクのランスロットが、シュナイゼルの雪の城に到着しました。
そして…ランスロットから降りると、広い廊下を走っていくと…
シュナイゼルとルルーシュがとても仲よさそうに話をしています。
スザクはそんな姿を見て…大変ショックを受けます。
そして、ルルーシュがスザクに気が付きますが…いつもと様子が違います。
否、目に変なものが入ってから様子が違っていたのですけれど…
しかし、その時にはスザクの事が解っていました。
今のルルーシュはスザクを見ても知らん顔をしています。
スザクがルルーシュに声を掛けます。
「ルルーシュ…」
ルルーシュはその声でスザクの方を見ますが…
「お前…誰だ…」
冷たい声が返ってきただけです。
スザクはその場に倒れそうなほどショックを受けていますが…スザクはルルーシュを助けに来たのです。
それに…ルルーシュはあの時から、おかしな事になっていたし、シュナイゼルと一緒にいて、何もされていな筈がありません。
「ふっふっふ…スザクくん…。ルルーシュにはもう、君の関する記憶がないのだよ…。今のルルーシュは…私にギアスをかけた…あの『ゼロ』なのだよ…。私の命令を下せるのはルルーシュだけ…そう…私はルルーシュの為なら…」
完全に一人で自分に酔っている状態のシュナイゼルにうんざりしているのですが、状況が状況だけに、何とかしないとまずい状態です。
スザクは静かにルルーシュの方へ歩いていきます。
ルルーシュは…相変わらず…冷たい目でスザクを見つめています。
「ルルーシュ…僕だよ…スザクだよ…」
そう泣きそうになりながらルルーシュに話しかけます。
そして…次々にルルーシュとの思い出を語り始めます。
「ほら…君がまだ、僕んちに来たばかりの頃…君はずっと一人で…。君を笑わせるのに、ホント時間がかかったよね…。でも君は僕の為に笑ってくれて…そして…ピィーな事とか、ピィーな事とか…いろんな事…したじゃないか…」
って…美しい思い出を語るかと思いきや…両想いになってからのルルーシュとののろけ話を始めてしまいました…。
「君はピィーすると、ピィーして…それから…ピィーってなって…」
あまりにピィーが多過ぎるので、一応この部分は割愛させて頂きます。
この話の内容については、各自読者様の妄想力と想像力をフルに活用して、お楽しみください(←おい!)
そんなスザクの一人語りに…ルルーシュの反応は…と云うと…

 真っ赤になって、顔から湯気が出そうになっています。
そして、スザクの一人語りにショックを受けて、シュナイゼルが動けなくなっている隙に、ルルーシュの前まで行って、自分の胸に抱きよせます。
あまりの事にルルーシュはそのままなされるがままになっています。
そして…スザクはルルーシュにそっと口付けます。
すると…ルルーシュの目から涙がこぼれてきます。
ルルーシュの流す涙の中に…あの時、左目に入ったC.C.の落とした鏡のかけらがありました。
すると…ルルーシュの記憶が一気によみがえってきます。
スザクとのあんな思い出やこんな思いで、あまつさえそんな思い出まですべて…ルルーシュの心によみがえってきました。
「スザク…」
そのルルーシュの声に、今度はスザクが涙を流しています。
「よかった!思い出したんだね…よかった…」
再びルルーシュを力いっぱい抱き締めます。
「さぁ…帰ろう…。僕たちの家に…」
スザクがそこまで云うと、さっきのスザクの声に放心状態だったシュナイゼルがどうやら正気を取り戻したらしく、大声をあげます。
「待て!ルルーシュは私の嫁だ!」
シュナイゼルの一言に
「「誰がお前の嫁だ!」」
と、ルルーシュとスザクがユニゾンでツッコミます。
しかし、シュナイゼルも引きさがる事が出来ず…さらに騒ぎたてます。
「ルルーシュ!私はお前が必要なのだ…だから…」
「異母兄上…俺は…もうブリタニアとは関係ないのです…だから…」
そこまで云うと、ルルーシュの表情がまた、『ゼロ』に戻りました。
「『ゼロ』が命じる…。異母兄上はここで、大人しく北のこの地を統治していてください!」
すると、シュナイゼルが大人しく引きさがっていきます。
『ゼロ』に仕えよ…
それはシュナイゼルにかけられたギアスです。
ですから…こう云われてしまうとシュナイゼルは従わざるを得ないのです。
そして、ルルーシュとスザクは二人、手を取り合って、この城から出て行きます。
「ランスロットで一緒に帰ろう…」
「スザク…来てくれてありがとう…」
ルルーシュは素直にスザクにお礼を言います。
ツンデレなルルーシュはなかなか素直にスザクにお礼を言ってくれる事などありません。
スザクは嬉しくなって、顔をくしゃくしゃにしながら笑います。>
「ルルーシュ…もう、どこへも行かないで…。どこへも行かせないから…」
スザクの言葉に、ルルーシュは赤くなりながら、こくんと頷いて、スザクと一緒にランスロットで自分たちの家へ帰って行きました。

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